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管工事施工管理技士の資格を目指す

建築や土木、電気工事等、いくつかの種類がある施工管理技士資格。このページでは現場監督を目指す人のために「管工事施工管理技士」の資格内容や取得方法についてまとめています。

管工事施工管理技士とは?

資格の特徴

管工事施工管理技士は、上下水道配管設備やガス配管設備、空調設備といった管工事の施工管理に関連した「施工管理技士資格」の1種であり、国土交通大臣から認められる国家資格。1級と2級に分類されており、1級管工事施工管理技士は主任技術者・監理技術者・専任技術者になることができ、2級であれば専任技術者か主任技術者として従事できます。

加えて1級取得者は建築設備士の受験資格を得られ、2級以上であれば社会保険労務士の受験資格を得られるなど、他の資格取得を目指す上で通過点として有効であることも特徴です。

配管工事そのものを行うために管工事施工管理技士の資格はいりませんが、管工事施工管理技士を取得していれば配管工事の工程・安全・品質管理を行えるため、建築業界において需要の高い資格となっています。

資格の取得方法

資格取得のためには、所定の受験資格を満たした上で国家試験(学科試験および実地試験)に合格する必要があります。

受験資格には実務経験が求められますが、最終学歴や所有資格によって経験年数が異なり、15年以上の実務経験があれば中卒者でも1級・2級を問わず受験可能です。

なお管工事施工管理技士の取得者は、浄化槽設備士や給水装置主任技術者といった他資格の取得においても、講習だけで資格が取得できたり受験科目が免除されたりといったメリットがあります。

資格取得の条件

2級の場合

大学の指定学科を卒業してから1年以上、指定学科以外の大卒者であれば1年6ヶ月以上の実務経験で受験可能です。その他、短大や高専卒などで卒業後2年~3年以上、高等学校や専門学校の卒業生で3年~4年6ヶ月以上と、学齢期や卒業学科に応じて必要な実務経験年数が変化していきます。

なお中卒者でも実務経験8年以上で受験資格を与えられるため、真剣に取り組めば20代前半での2級管工事施工管理技士資格取得も不可能ではありません。

1級の場合

1級の受験資格に関しては、必要とされる実務経験年数が2級よりも長くなっており、例えば大学の指定学科卒業で3年以上、中卒者であれば15年以上の実務経験が必要です。

管工事施工管理技士の資格取得のメリット

管工事施工管理技士の資格を取得した場合のメリットについてご紹介していきます。資格取得を検討している方は、ぜひチェックしておいてください。

主任技術者・監理技術者になれる

管工事施工管理技士の資格を取得すると、まず担当できる仕事の幅が広がります。

具体的にいうと、1級管工事施工管理技士の場合には特定建設業における専任技術者、また一般建設業の主任技術者・監理技術者といった役割を担当できるようになります。2級管工事施工管理技士の場合には、一般建設業における専任技術者・主任技術者として仕事ができます。それぞれの級において担当できる役割は異なるものの、いずれにしても資格を取得することによって、現場で担当できる仕事の幅が一気に広がるといえるでしょう。

1級管工事施工管理技士が就ける監理技術者とは、建築一式工事の場合は総額7,000万円以上、またそれ以外の工事の場合は4,500万円以上という大きな規模の建設工事を行う場合に必要とされる役職であり、非常に責任のある立場といえます。そのため、より責任のある仕事をしたいと考える場合には、1級管工事施工管理技士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

経営事項審査で評価を得られる

また、公共工事の入札時に行われる「経営事項審査」において評価を得られるという点も資格を取得するメリットとなります。この経営事項審査とは、国や地方公共団体などにおいて発注が行われる公共工事を直接請け負おうとする業者が必ず受けなければならない審査であり、建設業者の企業規模や経営状況などを審査するものです。

この審査の技術力評価において、1級管工事施工管理技士がいる場合は「5点」が配点されます。そのため1級管工事施工管理技士の数がその業者の技術力に関する評価につながってくる、ということになります。

このことから、公共工事の入札に参加しようとする企業にとっては、1級管工事施工管理技士はできるだけ多く採用したい人材である、と考えていると予想できるのです。

需要が高いため転職時に有利

上記でご説明してきた通り、管工事施工管理技士の資格取得者は建築業界において需要が高い存在であるといえます。そのためキャリアアップや給与アップが期待できる点に加えて、転職をしたいと考えたときに有利になる可能性もあるでしょう。

管工事は住宅やマンションのほか、商業施設などすべての建築物において欠かせない工事であることや、管工事施工管理技士資格を取得している人材は高齢化が進んでいるといわれていることなども、転職を考えた場合に有利と考えられる理由といえます。

必要な勉強時間

管工事施工管理技士試験の合格を目指す場合には、1級で「1日あたり2.5時間」、2級で「1日あたり2時間以上」の勉強を30日以上続ける必要がある、といわれています。ただし、この時間はあくまで目安。それぞれの実務経験や経験年数によって差が出てきますので、まずは余裕を持って勉強をスタートし、必要に応じて勉強時間を調整するのがおすすめです。

勉強方法

では、具体的にどのように勉強を進めていけば良いのでしょうか。いくつかご紹介しますので、自分に合ったものを探してみてください。

参考書

まず、紙の参考書を購入して独学を進めていく方法があります。この方法の場合、自分のペースで進めていける点がメリットのひとつといえます。このように、自分のペースで進められることで、モチベーションをキープしたまま勉強できるはずです。また、参考書さえ持っていればどこでも勉強できるという面もあります。

ただし参考書のみで勉強する場合には、わからないことが出てきたらそのままにせずにしっかりと理解するまで勉強する、という点が大切です。

動画教材

DVDやインターネットを使用し、講師が講義している動画を見ながら勉強をする方法もあります。動画教材を購入する場合には、動画だけではなく講師にメールなどで質問できる特典が付いている場合もありますので、分からないことが出てきた場合でもそのままにせずに済む点がメリットといえます。

また動画教材の場合、いちど見てわからなかった部分に関しては何度でも繰り返し見て勉強できる、というメリットもあります。ただし動画教材は参考書よりも高価な場合が多いため、まずはお試し利用ができるものを探してみるのも良いでしょう。

専門学校

合格を目指したカリキュラムを組み、指導を行ってくれる専門学校に通うのもひとつの方法です。もし自分に合った授業内容であれば、短時間で合格に向けて力をつけられるはずです。

さらに専門学校に通う大きなメリットとしては、講義でわからなかったことが出てきた場合にも講師にすぐに質問できる点が挙げられますので、わからない内容をそのままにせずに済みます。例えば、参考書を読んでみたところ理解できなかった部分が多い、という方は専門学校で学ぶことがおすすめです。

勉強のコツ

では、管工事施工管理技士試験の合格を目指す場合に押さえておきたい、勉強のコツをご紹介します。

過去問を繰り返し解く

試験に向けた勉強をする場合には、まず過去問を繰り返し解くことがおすすめです。何度も解いていると自分が苦手な分野がわかってきますし、出題の傾向を把握するのにも役立ちます。

過去問を解いてわからない問題や解けなかった問題は、しっかりと理解できるまで復習しておきましょう。

必須問題を優先的に勉強

また、勉強の進め方としては必須問題から先に学ぶのが効率的です。必須問題は選択問題よりも優先度が高いため、しっかりと解答できるように準備をしておきましょう。必須問題を押さえた後に選択問題を学ぶのがおすすめです。

経験記述を対策

さらに、記述式の二次試験については、「経験記述」の対策も必要です。これは、施工経験を踏まえながら出題された分野に関して文章を書くものです。テーマは「施工管理」「安全管理」「品質管理」「工程管理」のいずれかになりますので、文章を書くことに慣れていない方は特に練習が必要になる部分といえるでしょう。

管工事施工管理技士に
求められる業務内容

管工事施工管理技士は、空調・冷暖房設備や給気ダクト、上下水道配管設備や浄化槽設備、ガス配管設備といった、建物のインフラ環境の工事において「工程管理」や「品質管理」、「コスト管理」などの業務を担当します。

また配管工事は建物の内壁や天井裏など、普段は目に見えない部分の工事になるため、作業員はもちろん全体的な安全管理についても神経を注ぐ必要があります。万一設備不良があった際は事故にもつながりかねないため、配管の工事は複雑かつ専門性の高いものに。一部では資格手当が出るように、この資格には一定の需要があるため、取得していれば就職に有利に働くこともあるでしょう。

管工事施工管理技士の将来性

管工事施工管理技士の資格を取得した場合には、管工事に関する一定の技術や知識を持っていることの証明ができます。さらに、給排水や空調などの管工事はオフィスビルや大きな建物だけではなく、住宅などありとあらゆる建物に関わってくる部分となっているため、関わる仕事の幅も非常に広いといえます。

また1級管工事施工管理技士の資格を取得すると、専任技術者や監理技術者として働くことができます。大規模工事においては欠かせない存在となるため、今後も管工事施工管理技士の需要は続くと考えられます。

管工事施工管理技士を取得した後に「建築設備士」の資格を取得するなど、さらなるキャリアアップを目指して活躍の場を広げていくこともできます。

管工事施工管理技士のやりがい・魅力

人々の生活を支える仕事であること

管工事は、建物にとって欠かせないものです。住宅やビル、商業施設、ホテルなど、人々が生活するあらゆる建物では管設備が備えられています。例えばお風呂やトイレに設置される水を流す管、エアコンなどの空調についても管工事が必要です。

一般的にあまり目にする機会がない部分なので意識されることは少ないものの、人々が生活を営む上で管工事は必要不可欠です。このように、人々の生活を支えられる設備のプロフェッショナルとして活躍できる部分にやりがいを感じる、という人も多いのではないでしょうか。

幅広い建物の工事に関われる

管工事は、給排水やガスの配管、下水道、空調、照明といった非常に幅広い設備に関わってきます。さらに、工事を行う建物もさまざま。1級管工事施工管理技士の資格を持っていることで、大規模な建物に関われます。

管工事というと、住宅やビルなどのイメージが強いかもしれませんが、場合によっては製造工場や重要文化財に関連する建築物など、一般の人がなかなか関われない建物の工事を担当する場合もあるでしょう。

このように、管工事施工管理技士の資格を持つことにより多彩な建物に関われるのは大きな魅力です。

資格を取得することで収入アップを目指せる

管工事施工管理技士の資格を持っていると、上記で説明した通りさまざまな現場で活躍できます。そのため、建築業界では有資格者が優先的に採用される傾向があります。さらに、資格手当を支給している企業もありますので、資格を持っていることで収入のアップを目指せるでしょう。

管工事施工管理技士のきついところ

体力面で厳しいと感じることも

管工事は、狭い場所で作業をしたり屋外作業を行ったりします。さらに、1年を通じて工事を行うため、さまざまな気象条件下での作業となります。場合によっては、猛暑の中・真冬の寒い中での作業となり、非常に体力を要するといえるでしょう。

このように、管工事施工管理技士の仕事は体力勝負な部分がありますので、健康管理に気を使うことが必要です。

現場に関わる人をまとめる必要がある

管工事施工管理技士は、現場でさまざまな技術者をまとめる役割を担います。そのため、人が多い現場であるほど多くの人とコミュニケーションを取る必要があり、その分気苦労も増える場合があるでしょう。

さらに、役所や発注者との交渉を行うこともあります。このように、さまざまな人の間に立ち、コミュニケーションをとりながら工事を進めていくのも、管工事施工管理技士の大切な仕事です。

常に勉強が必要

管工事施工管理技士としてステップアップするためには、さらに勉強を重ねて「配管技能士」などの関連資格の取得を目指すことになります。個人個人の技術力が重視される業界であるだけに、第一線で活躍し続ける技術者でいるためには、仕事をしながら勉強をすることが求められてきます。

管工事施工管理技士の転職先

管工事施工管理技士は資格を活かした転職がしやすい点が特徴のひとつです。これは、建物には管工事が不可欠なものであるため。管工事の現場で責任者として仕事ができる管工事施工管理技士は非常に需要が高いといえるのです。

さらに、管工事施工管理技士の資格取得には実務経験が必要であるため、多くの企業が資格を持つ技術者を採用したい、と考えている点も転職しやすい理由のひとつとなっています。建築会社のほか、各種管設備(ガスや給水、空調など)の施工管理会社、配管工事会社などで活躍できると考えられます。

管工事施工管理技士に向いている人

管工事施工管理技士は建物の配管部分を専門としている技術者であるため、「建物の配管部分に興味がある」という人に向いている仕事であるといえるでしょう。建物が好きであり、特に内部の構造や配管に関する技術を突き詰めたい、と考えている人にもおすすめです。

また、管工事施工管理技士として仕事をするためには、専門的な技術や知識が必要となります。試験に合格したからそれで良いという気持ちではなく、常に新しい技術を身につけ、成長していきたいと考える人も向いているといえるのではないでしょうか。

加えて、施工現場で働くさまざまな人をまとめるという役割も担っていることから、「たくさんの人と接するのが好き」という点も管工事施工管理技士に向いている要素であるといえます。