現場監督に求められるスキルの1つに、「段取り力」があります。
段取りとは、何かを行う際の順番や行い方、手順のことです。建設現場では工程によって作業をする職人さんが異なります。1つの工程が遅れれば、複数の現場を掛け持ちしている職人さんに迷惑をかけてしまいます。
段取りさえきちんと行っていれば仕事の8割は完了したとする「段取り八分」という言葉があるほど、段取りは重要なのです。
では、現場監督に「段取り力」が不足すると、どうなるのでしょうか。
いざ作業を始めた際、作業員の動線がうまくいかない、搬入が重なって作業が進められない、資材が不足するなどの事態が起きてしまえば、その日に行う作業が完了できないだけでなく、職人さんが帰らざるを得ない事態に陥りかねません。
段取りの悪さが原因で作業がスムーズに進められなければ、その日に行う予定だった工程を終えられないことも。
工程に一つ遅れがでれば、それ以降の工程にも支障が出てしまう為、多くの職人さんに迷惑をかけてしまいます。
段取りを考える際には、職人さんのこともきちんと考えておく必要があります。
作業に要する期間や時期をしっかりと把握し、そのスケジュールで作業してもらえるよう職人さんを手配しておきましょう。作業のギリギリに職人さんを手配するのはNGです。
また作業開始時には、必要となる資材や道具を揃えておくことも大切です。
普段から段取り力を高めるために、ぜひ次のポイントを意識してみましょう。
段取りを考える際、もし自分のスキルや知識が不足していたらどうなるでしょうか。なんとなくイメージしただけで始めると、作業を完遂することが難しくなる可能性も。無理をして何とかなっても、それを繰り返していれば体調を崩したり大きなミスを引き起こしてしまったりする恐れも出てくるでしょう。
自分に何が出来るのか、どのようなスキルを持っているのか、何が足りないのかを正しく把握することで、自分の力が十分に発揮できるよう仕事の段取りを組めるようになるのです。
作業をする際は優先順位を考えましょう。現場作業には工期が定められていますので、何から始めていくのか、どのような順番で進めていくのかを考えることは非常に重要です。優先順位を考える場合は、差し迫っているもの、今すぐにやらなければいけない作業などから先に始めましょう。
しかし、どの作業から始めても良いような場合、難易度や得意・不得意から優先度を考える場合も。難易度が高い、または不得意な作業は時間がかかりますが、簡単な作業や得意な作業は短時間で終わらせられますよね。どちらから取りかかるか、双方のメリット・デメリットの把握が重要となります。
難易度が高い・不得意な作業から進める場合は、最初の仕事で時間を取られてしまいますので、簡単で得意な作業でも残された時間が少なくなり間に合わなくなる恐れはあります。ただ、残っているのが簡単で得意な作業であれば、精神的には余裕が生まれます。
一方、難易度が低い、または得意な作業から進める場合はスピーディーに作業を進められますが、続いて難易度が高く不得意な作業を行った時、予定していた以上に時間がかかることも。締め切りに間に合わせられない可能性も出てきます。残している作業が面倒なものであればあるほど、対応を遅らせたことによる影響が大きく表れ、問題になる恐れもあるでしょう。
自分にとってどの作業から着手するのか、どの順番で進めるのがベストなのか考えたいですね。
現場でトラブルが起こった際、事前にその可能性を予測していた場合と、まったく考えられていなかった場合とでは対処スピードが異なります。トラブル発生を前提として、その際にどう動くかをきちんと考えておくことが大切です。
トラブルを予測するにあたって、目の前の仕事だけを見るのではなく、その次の仕事もイメージしておくことも重要ですね。状況によっては、作業の優先順位を変えることも。常に一歩先を見ながら作業を進めるようにしましょう。
同じ様な作業が続くとき、間に他の仕事を挟むよりも連続して行う方が、効率が良くなることも。同じ作業は慣れてくればコツが掴めますし、集中して機械的に行えるので作業スピードもアップします。
また休憩を入れるタイミングを間違えると、せっかくの集中が途切れてしまう場合もあります。作業を行う際には、似たような性質の作業がないか、まとめて行える作業がないかなども意識して探すようにしてみると良いでしょう。
現場において何らかのトラブルが起こることは、決して珍しいことではありません。しかし、事前の段取りをきちんとしておくことでトラブルに対応する余裕が生まれ、うまく対応できるか否かが決まります。
段取りよく仕事が出来れば工期を守れるだけでなく、職人さんたちからの信頼を得られるというメリットも。普段から「段取り力」を身に着けられるよう意識しておきたいですね。