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主任技術者に求められるスキルとは?気になるポイントを解説!

主任技術者

あまりなじみのない「主任技術者」は、実は工事の現場には必ず配置されています。現場監督のようなものですが、誰もがなれるわけではなく、法律で定められた基準を満たしている必要があるのです。ここでは、主任技術者の仕事内容や経験者の声、必要な資格などをご紹介します。

主任技術者とは

主任技術者は現場での司令塔であり、工事の采配全般を取り仕切る立場の人間です。そのため、基本的に兼任は許されず、ひとつの工事現場に必ず一人は専任の主任技術者を配置しなければなりません。これは、建設に関する法律である「建築業法」の第26条に定められています。

建設業法第26条の3
1. 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。 2. 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。

上記の引用のように、工事の計画や工程管理、人の管理・監督などが、主任技術者の役割。また条文の「2.」にある通り、現場の作業員は、主任技術者の指導に従う義務が課せられています。

なお、たとえ主任技術者となる経験や資格を持っていたとしても、実際に現場で主任技術者に就くことができるのは正社員のみ。アルバイト契約や派遣契約、臨時雇用など、正社員以外の雇用契約は主任技術者になれない旨が、法律によって定められています。

主任技術者の業務内容

主任技術者の仕事は、ひとことで言えば「現場監督」。現場に出て陣頭指揮をとるのが主な仕事です。しかし、実はそれ以外にもすべきことが数多くあります。施工計画の作成にはじまり、工事スケジュール・工事の品質・予算などの管理、工事完了後の書類作成も行わなければなりません。

さらに、現場の安全管理や作業員への指示・技術指導、各業者とのやり取りなども、主任技術者が請け負う仕事。このように、主任技術者の業務内容は非常に多岐にわたります。

しっかりと現場の知識を持っていることにくわえ、さまざまな立場の人と円滑にコミュニケーションをとる能力も求められる仕事です。

主任技術者をやったことのある人の声

  • 仕事を受注し、施工計画がスタートしてから無事に工事が完了するまでに、多くの方々の協力を得て工事を進めていきます。さまざまな角度から考えをめぐらせながら、ついに建物が完成したときの達成感は何物にも代えがたいです。自分が携わるのは公共構造物ですが、完成した構造物が実際に利用されているのを見ると、この仕事をやってよかったと思えます。
  • 難しいと感じるのが、現場でのコミュニケーションです。現場で実際に作業する職人さん達に計画を納得してもらうのは大変でした。さらに、作業にやる気が出るように現場の雰囲気を作っていくためには、細かく気を配る必要があります。トラブルに対処しなければならないときも、多々ありました。
  • 主任技術者に必須のスキル

    主任技術者になるためには、実務経験を積む、あるいは指定された国家資格(施工管理技士の資格)を取得することのいずれかが必要です。

    学歴に応じた年数の実務経験を積む

    主任技術者になるために必要な実務経験年数は、学歴によって異なります。専門の高校や高専、大学、専門学校を卒業した人で3~5年、それ以外の学歴の人は10年の実務経験が必要です。

    施工管理技士の国家資格を取得する

    施工管理技士の資格は、分野ごとに細かく設けられており、取得している資格の範囲でのみ主任技術者として働くことができます。工事の中でも、土木工事や建設工事は件数が多く、その分主任技術者の需要が高い分野といえます。より多くの現場に対応するためには、土木工事施工管理技士と建設工事施工管理技士の資格を取得しておくとよいでしょう。

    なお、建築士と1級の各種施工管理技士の資格を持っていると、主任技術者だけでなく監理技術者として働くことも可能となります。

    施工管理技士と総称される資格には、分野に応じて6種類があります。以下、主な工事現場で主任技術者として活躍できる施工管理技士の資格について、詳しく確認してみましょう。

    なお、施工管理技士の各資格には、それぞれ1級と2級があります。2級の資格のみでも主任技術者になることはできますが、1級とは異なり、業務の範囲に制限があることを理解しておきましょう。

    土木

    主任技術者になれる資格

    • 建設機械施工技士
    • 土木施工管理技士

    土木施工管理技士について

    土木施工管理技士とは、河川や道路、橋などの土木工事現場において、工事計画や工事の工程、安全管理、人員配置などを総合的に指揮・監督するための国家資格。1級、2級のどちらを取得しても主任技術者になることはできますが、2級取得者が土木工事現場での主任技術者になる場合には、資格の種別が「土木」でなければなりません。

    1級の受験資格

    「大学の指定学科を卒業後に実務経験3年以上」「2級合格後に主任技術者1年を含む3年以上の実務経験」など、複数の受験資格が用意されています。詳細は資格を主催する一般財団法人全国建設研修センターにて確認してください。

    1級の試験内容

    学科試験として土木工学、施工管理法、法規の3分野を受験。加えて、施工管理法の実地試験を受け、学科・実地の両方に合格した場合に1級土木施工管理技士の資格が与えられます。

    1級の合格率

    近年の1級の合格率は、学科試験が55%程度、実地試験が35%程度で推移しています。難関試験というわけではありませんが、しっかりと試験勉強をしていない限り、一発で合格することは難しいでしょう。

    建築

    主任技術者になれる資格

    • 建築施工管理技士

    建築施工管理技士について

    建築施工管理技士とは、鉄筋工事、大工工事、内装仕上げ工事などの現場において、工事計画の作成や施工管理、人員配置などの指揮・監督をするための国家資格。1級、2級のどちらの資格を保有していても主任技術者になることができますが、2級のみで建築現場の主任技術者になるためには、資格の種別が「建築」である必要があります。

    1級の受験資格

    「大学の指定学科を卒業後に3年以上の実務経験」「2級合格後に5年以上の実務経験」など、複数の受験資格が用意されています。最新の受験資格については、一般財団法人建設業振興基金の情報を確認してください。

    1級の試験内容

    学科試験として、建築学等、施工管理法、法規の3分野が出題されます。また実地試験として、施工管理法が課されます。学科・実地の両方に合格することで、1級建築施工管理技士の資格が与えられます。

    1級の合格率

    学科試験の合格率は35%程度、実地試験の合格率は37%程度を推移しています。しっかりと試験勉強をしていない限り、一発での合格は難しい試験と考えてください。

    大工

    主任技術者になれる資格

    • 建築施工管理技士

    建築施工管理技士について

    建築施工管理技士とは、上記「建築」での説明のとおり、鉄筋工事、大工工事、内装仕上げ工事などの建築現場における指揮・監督者のこと。1級でも2級でも、どちらでも大工現場における主任技術者になることができますが、2級のみで主任技術者になる場合には、資格の種別が「躯体」または「仕上げ」であることが条件となります。当然ながら、1級とは異なり、2級は自身の種別の範囲を超えて主任技術者を務めることはできません。

    受験資格・試験内容・合格率については、上記「建築」での説明を確認してください。

    とび

    主任技術者になれる資格

    • 建設機械施工技士
    • 土木施工管理技士
    • 建築施工管理技士

    建設機械施工技士について

    建設機械施工技士とは、建設現場における機械施工に関して、現場の指揮・監督を行うための国家資格。資格には1級と2級があり、どちらでも主任技術者に就くことができますが、2級のみで建設現場の主任技術者になるためには、資格の種別が「第一種~第六種」である必要があります。1級とは異なり、2級の有資格者は、自身の種別の範囲を超えて主任技術者を務めることはできません。

    1級の受験資格

    「大学の指定学科を卒業後に3年以上の実務経験」「学歴不問で15年以上の実務経験」など、複数の受験資格が用意されています。最新の受験資格については、試験を主催する一般社団法人日本建設機械化協会の情報を参考にしてください。

    1級の試験内容

    筆記試験では、土木工学や建設機械原動機など7分野から出題されます。実地試験では、ブルドーザや油圧ショベルなどの建設機械から1種類を選択して受験します。学科・実地の両方に合格することで1級建設機械施工技師の資格が与えられます。

    1級の合格率

    学科試験の合格率は45%程度、実地試験の合格率は85%程度です。学科試験の対策が、最終合格の鍵を握っていると考えましょう。

    石工

    主任技術者になれる資格

    • 土木施工管理技士
    • 建築施工管理技士

    土木施工管理技士について

    土木施工管理技士とは、上記「土木」で説明したとおり、河川や道路、橋などの土木工事現場にて指揮・監督を務めるための国家資格。1級と2級、どちらの資格を保有していても主任技術者になることができますが、2級のみで石工現場の主任技術者を務める場合には、資格の種別が「土木」である必要があります。

    受験資格や試験内容、合格率については、上記「土木」をご確認ください。

    電気

    主任技術者になれる資格

    • 電気工事施工管理技士

    電気工事施工管理技士について

    電気工事施工管理技士とは、電気工事現場における施工計画、施工管理、人員配置などの指揮・監督をするための国家資格。電気工事関連における最高峰の資格とされています。1級と2級、いずれの資格でも主任技術者になることができますが、2級のみで主任技術者を務める場合には「請負金額3000万円まで」と、工事の規模が限定されます。1級の場合には、請負金額に上限がありません。

    1級の受験資格

    「大学の指定学科を卒業後に3年以上の実務経験」「高校を卒業後に10年以上の実務経験」など、複数の受験資格が用意されています。受験資格の詳細については、試験を主催する一般財団法人建設業振興基金の情報を確認してください。

    1級の試験内容

    学科試験として、電気工事学等、施工管理法、法規の3分野を受験します。また実地試験として、施工管理法を受験します。学科と実地の両方に合格することで、1級電気工事施工管理技士の資格が与えられます。

    1級の合格率

    学科試験の合格率は56%程度、実地試験の合格率は75%程度を推移しています。実地の合格率は高いため、いかに学科をクリアするかが最終合格の鍵となるでしょう。

    主任技術者の年収は?

    主任技術者の一般的な年収は、およそ400万~500万円といわれています。しかし、実際には就職した企業の規模によって大きく異なる場合もあり、大手のゼネコン会社の場合は、年収が1,000万円を超えることも少なくないようです。

    また、資格の有無や役職がつくかどうかによっても、年収は変わってきます。難関といわれる建築士などの資格を持っている場合や、大卒で部長や課長などの役職についている場合は、年収が大きくアップします。

    主任技術者は、専門的な知識や資格が必要なこともあり、比較的収入がよい職業のひとつといえますが、残業が多く、労働時間が非常に長いケースが見られることも頭に入れておきましょう。