経験の少ない内は、クレームと聞くだけで身構え、心も体も疲弊してしまう若手現場監督もいます。しかし、クレームが起こる度にいちいち疲弊していては、他の業務にも支障が出ます。
突発的に起こるクレームに適切に対処できるよう、よくあるクレームの事例や対処法を押さえておきましょう。
現場でありがちなクレームには、工事の作業や仕上がりに対する施主からのクレームをはじめ、「工事の音がうるさい」「振動がひどい」「工事をやめてほしい」「夜中に作業しないでほしい」といった近隣住民からのクレーム。あるいは、「作業員の態度が悪い」「言動が不適切だ」といったクレームが大半を占めます。
クレームを受けたら、まずは謝罪が大切です。決してすぐに約束してはいけません。
例えば、工事の音がうるさいとクレームがあった場合。すぐに作業をやめますといった約束してしまうと、クレームがある度に作業の手を止めなければならなくなり、工期がどんどん遅れてしまいます。
また、理不尽なクレームに対して怒ろうものなら、ケンカになるばかりで余計に収拾がつかなくなるでしょう。
クレームをスムーズに解決するには、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と、まずは謝罪が第一と心得ておきましょう。
「工事の音がうるさい」「エアコンが使えず暑い」といった施主からのクレームがあった場合は、事前説明をしたか否かで対処法も変わります。
事前に工事の説明をしていた場合、作業内容をもう一度説明し、作業時間の変更といった対策を出来る範囲で行います。出来る限り施主の不満を解消する方向へ持っていきましょう。
事前に説明が出来ていなかった場合は、不手際があったことを謝り、相手の不満を受け止め、施主の負担を減らす努力をしましょう。改めて施主の許可を得た上で、作業を再開します。
周辺に音が響くような大きな工事の場合は、一般的に現場監督が近隣住宅を周り、工事の内容や日時などの説明をします。その際、口頭の説明だけでなく、工事内容や日程、作業時間などを記した紙面を渡します。事前の説明で、ある程度の苦情について防止が可能です。
そうした手順を踏んでも、「作業音がうるさい」「工事があることを聞いていない」といったクレームが起こった場合は、お詫びを申し上げたうえで、クレームにつながった作業について日時の確認を行い、可能であれば作業スケジュールを変更して対応しましょう。
一度でも、作業員の態度や言葉遣いに対してクレームがあれば、研修を実施してお客さまや近隣住民に対しての接し方を指導した方が良いでしょう。
「作業員の態度が悪い」「タバコの匂いが家に流れてくる」といったクレームが起こった場合、問題の作業員だけにクレーム対応を任せるのではなく、必ず第三者が仲介することが重要です。クレームの対象となった作業員に加え、上司2名以上で相手への事実確認および、謝罪するようにしましょう。
喫煙に関しては、現場での喫煙ルールを守るよう周知徹底することが大切です。
「見積もりと料金が違う」「仕上がりのイメージが違う」といったクレームが入ることがあります。
照明やエアコンなどの設備を取り付ける際には、作業前に取り付け場所を確認して、クレームを防ぐようにしましょう。
また料金については、基本的に見積書と請求額が異なることがあってはなりません。とはいえ、現地で作業するにあたって、見積もりに追加せざるを得ない場合もあります。その場合は、必ず施主に説明し、了承を得る必要があります。