建設現場の施工管理にはいくつかの種類があります。「建築施工管理」や「土木施工管理」などが含まれ、同じ施工管理でも必要となる資格が異なり、1級、2級といった等級も存在します。それぞれに応じて、担当できる工事内容や規模に違いがあるので、特徴を把握した上で資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
今回は「建築施工管理」と「土木施工管理」の具体的な違いについて、仕事内容と資格の面から紹介します。
施工管理を行うには国家資格が必要です。資格には以下のような種類があります。
建築施工管理技士と土木施工管理技士のどちらの資格を取得するのか、それぞれの違いや特徴を理解してから考える必要があるでしょう。
建築と土木は、簡単に言えば何を作るか、という点に違いがあります。
建築基準法(※1)では「建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。」と定められており、次のように屋根と柱・壁があって内部に空間がある建造物が該当します。
簡潔に言えば、土木は建築物以外の工作物や建造物のことです。
人が生活するために必要なもの、或いは生活を便利にするためのものが土木技術者(シビルエンジニア)といえます。
現場で施工管理(原価管理、工程管理、品質管理、安全管理)を行う為に必要となる国家資格である点は同じです。それぞれに1級と2級があり、内容が異なります。
最も大きな違いは、監理技術者と主任技術者どちらになれるかという点です。
主任技術者…施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、労務管理を行う。
規模や金額に関わらず、建築・土木工事現場に必ず配置しなければならない。
監理技術者…主任技術者の役割に加え、下請負人を指導・監督する役割を担う。
下請契約の請負代金総額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)になる場合、専任で配置しなければならない。
続いて、資格ごとに詳細を解説します。
監理技術者の要件として認められており、主任技術者として選任されることも可能。管理できる工事規模に上限がありません。高層マンションや公共施設などの大規模な工事を行うことができ、ポジションとしても1級保持者の方が優遇されます。
受験資格として、指定学科の大学を卒業後、3年以上(高校卒業の場合は10年以上)の実務経験が必要です。
主任技術者の要件として認められています。4,000万円以上の建設現場を担当できないため、管理できる工事規模が限られます。
2級の資格は「建築」「躯体」「仕上げ」の3種類となっているため、すべての業務を担当したいと思えば3種類の試験に合格しなければなりません。
2級の受験資格としては、指定学科の大学を卒業後、1年以上(高校卒業の場合は3年以上)の実務経験が必要です。
建築施工管理技士と同様、監理技術者の要件として認められているため、全ての土木工事で施工管理や安全管理の業務を行えます。主任技術者として選任されることも可能です。
受験資格は、指定学科の大学を卒業後、3年以上(高校卒業の場合は10年以上)の実務経験があること、となっています。
こちらも建築施工管理技士と同じで、主任技術者の要件として認められています。2級の土木施工管理技士が担当できるのは、2級建築施工管理技士と同様、請負代金4,000万円を超えない工事のみです。
試験内容は「土木」「鋼構造塗装」「薬液注入」の3つに分かれており、すべての分野の現場で主任技術者として施工管理を行う為には、3つすべてに合格する必要があります。
受験資格として指定学科の大学を卒業後、1年以上(高校卒業の場合は3年以上)の実務経験が必要ですが、土木施工管理技士の特徴として、1級・2級どちらに合格しても社会保険労務士の資格が与えられる点が挙げられます。
建築施工管理技士と土木施工管理技士では、試験の合格率に大きな差はありません。
おおよそで言えば、学科試験は50%前後、実地試験が30%台の合格率となっており、1級も2級も同等です。
給与に関しても、建築施工管理技士と土木施工管理技士では大きな差はありません。資格の有無はもちろんですが、本人のスキルレベルや経験年数などによるでしょう。
建築と土木、どちらの施工管理を行うにしても、国家資格が必要です。
これらのポイントから、自分にどの資格が必要となるのかを判断しましょう。