工事現場の現場監督の内定をもらったんですが、文系出身なのでやっていけるのか不安です。
内定先の会社からは文系でも問題ないと言われていますが、理系の友人からは現場監督はやめたほうがいいと言われました。また、私は控え目な性格で、体力にも自信がありません。
こんな私でも、現場監督を務められるんでしょうか?
現場監督の仕事は、一般的に高卒以上であれば文系・理系を問わずに就職または転職することができます。
文系の未経験者でも採用してもらえる大きな理由としては、建設業界全体が人手不足のため。高齢の現場監督者が次々に引退しており、さらに若手の離職率も高いことから、建築の知識がない文系の未経験者であっても企業にとっては貴重な人材になるためです。また、最初は有資格者である施工管理技士のもとで仕事をするケースが多いので、建設業界の知識がなかったとしても働きながら学ぶことができます。
そのほかにも、現場監督という言葉のイメージから工事現場のすべての状況を監督する役割と思っている人も多いかもしれませんが、それは総責任者となる現場所長の仕事です。ただし、大きな案件だと現場所長がすべてを監督するのは難しいため、現場監督は現場所長や主任技術者の指示を作業員に伝える橋渡しとしての役割を担っています。
現場監督として採用されても、未経験として入社した以上は最初から現場監督の仕事はほとんど任せてもらえません。仕事をしながら徐々に覚えていくため、文系の未経験者がまず求められるのは現場の職人さんをまとめるコミュニケーション能力です。
現場監督は現場所長や主任技術者からの指示を職人さんに伝えたり、複数の現場を掛け持ちしている職人さんの予定や次の現場について確認したりするのも仕事のため、交渉力が必要になります。職人さんとの信頼関係を築くためにも、普段から明るく挨拶したり元気よく返事をしたり、といった日頃のコミュニケーションが重要です。
建設業界の知識があったとしても、職人さんとうまくやり取りのできない人は、現場をまとめる役割を持った現場監督にはあまり向いていません。コミュニケーション能力という面では文系・理系は関係ないため、職人さんへの挨拶やリスペクトを持った接し方などを心がけてみることが、文系の新人現場監督でもできる最初の1歩です。
未経験者に即戦力は求められないとは言っても、やはり経験や知識のない状態ですぐ現場に入るのは不安も大きいはず。だからこそ、文系の未経験者が現場監督として働くなら、研修制度がしっかりしている会社かどうかを必ず確認しましょう。
現場にスムーズに入るためには、2ヶ月以上の研修期間が設けられている会社が無難です。
施工管理技士のもとで現場監督として働くだけなら、文系でも未経験者でも可能です。ただし、現場監督としてもっと専門的な仕事を任せてもらいたい、給料をアップさせたい場合は、国家資格である施工管理技士の資格を取得する必要があります。
2級建築施工管理技士の資格は、満17歳以上なら「学科試験」は誰でも受験でき、学歴は問われません。ただし、学科試験の合格後に受ける「実地試験」については、最終学歴に応じた実務経験が必要です。たとえば大卒であれば卒業後から1年6ヶ月以上、高卒(普通科)だと4年6ヶ月以上、中卒なら8年以上の実務経験が求められます。
文系でも実務経験を積んでいけば施工管理技士の資格取得を目指せますが、注意したいのはアルバイトや積算業務などは実務経験に含まれない点。実務経験として認められるのは、建築工事の現場において現場監督として施工に直接関わる技術上の職務経験です。また、実務経験の内容によって受験種別も異なるため、施工管理技士の受験手引きをしっかりと確認しておきましょう。
施工管理技士の資格を取得する最大のメリットとしては、資格が昇格や昇給につながることがあげられます。なぜなら建設会社は施工管理技士がいないと工事を受注できないほか、抱えている施工管理技士の数が多いほど公共工事のような大きな案件を受注しやすくなるためです。会社にとって施工管理技士は財産とも言える存在のため、資格の有無は現場監督としてのキャリアアップを左右する重要なポイントになります。
また、将来的に大手のゼネコンに転職を考えている場合も、施工管理技士の資格を持っていれば文系でも転職は十分に可能です。このように施工管理技士の資格を持っているかどうかで、現場監督としてのキャリアプランの可能性が大きく変わってくるため、文系で現場監督としてやっていけるか不安な人こそ施工管理技士の資格取得を目指しましょう。