マリコンとはマリンコンストラクターの略称であり、埋め立てや防波堤、海底トンネル、橋といった、海洋土木工事を主軸にしている建設会社を指します。
海で行う工事には一般的な建築技術だけではなく専門的な技術が必要です。そのため、海洋工事はマリコンが担っているケースがほとんどであり、浚渫船(しゅんせつせん)や深層混合処理船など、大型の専門船を扱い工事を行います。難しい工事になるため中小の建築会社が関わることは困難であり、大手企業がメインとなっているのが現状です。
マリコンで行う仕事内容自体は陸で行う建設業と大差ありません。しかし、作業現場が海や河川なので現場が見えづらく、独自の確認方法を取らなければならない点で異なります。マリコンでは現場調査の結果を3Dデータに変換し、コンピューター上で進捗状況を把握します。
また、天候の影響を受けやすいのも異なる要素の一つ。風が強かったり波が高かったりすると、安全を優先して工事は中止されます。それだけ洋上や海の付近で行う作業は危険性が高いのです。台風の影響も陸上より大きく、早い段階で工事の中止が決定します。陸上での工事に比べてスケジュール管理が難しいといえるでしょう。
海底トンネルや橋は人々を繋ぐルートになります。海底トンネルや橋ができれば人々の交通手段は多様化し、飛行機や船を乗り換えなくても済むようになるでしょう。また、通勤や通学の利便線を高めるだけでなく、物流の新たなルートを開拓することも可能です。移動手段を増やすことは地域で暮らしている人の生活を豊かにし、移動速度を高めることは緊急時に人の命を守る上で役立ちます。このように、マリコンは社会貢献度の高い仕事なので、社会に役立つ仕事がしたいと考えている人にとっては特にやりがいを感じられる仕事になるでしょう。
重機や船を使用した工事がメインなので、マリコンが担う工事は大規模であることが多いです。その分怪我や事故が生じるリスクも高いですが、数年単位のプロジェクトに参加することは大きな達成感に繋がります。
マリコンは国内にとどまらず、海外でも行います。日本のマリコンの品質は海外でも高く評価されているため、受注されることが多いのです。そして、海外での工事は大規模なので、海外企業とのジョイント・ベンチャーになることも珍しくありません。海外で働きたいという願望がある人にとって、マリコンは魅力的な職業でしょう。
五洋建設株式会社、東洋建設株式会社、東亜建設工業株式会社の3つの会社が中心となっている日本のマリコン業界。専門的な分野であるがゆえに、競合他社が少ないのが現状です。
海洋土木工事の仕事がなくなることは将来的にまずないので、仕事が急になくなって困る可能性は低いです。日本のマリコンは海外から高い支持を得ているため、今後海外での仕事も増えていくことが予想されています。マリコンは将来性のある仕事といえるでしょう。