作業内容の確認として、当日に行なう工事の大まかな流れをはじめ、重機や作業車の確認、資材の場所、資材や重機が入ってくる時間や搬出入の予定などを説明します。
掘削作業が行なわれる場合は、断線事故などを防ぐためにも埋設物(ガス・上水道・電気ケーブル)の情報を重機オペレーターに伝えておきましょう。
予定通りに作業を進めるためにも、人員が揃っているかの確認は必ず行ないます。また、新規入場者がいれば挨拶をしてもらい、現場で働く作業員を共有しておくことも大切です。
次に、作業員の役割分担を確認します。車で移動する場合は4トンダンプや作業車、重機のオペレーターなどを誰が運転するのかを確認し、作業場所をしっかり把握しているかも合わせて確認しておきましょう。
事故や工事ミスが起きないように、作業を行なう上での注意事項を説明します。
注意事項の具体的な内容としては危険個所の周知をはじめ、立ち入り禁止箇所や作業通路・導線の共有、交通規制、周辺道路の注意点など。工事規制看板の配置場所や周辺道路の注意点など口頭での説明だと分かりづらい場合は、地図を使って周知しましょう。
また、安全帯の徹底やヘルメットのアゴひもを締めてもらう、といった安全管理の周知も重要です。そのほかにも夏場は熱中症の危険性があるため、当日の気温や熱中症情報などを共有し、こまめな水分補給を促しながら体調管理の注意喚起を行ないます。
職人さんが早く現場に入って作業を進められるようにするためにも、朝礼はダラダラと進行せず、必要な情報を簡潔に伝えるようにしましょう。
事前に1日の作業内容や注意事項などを整理してまとめておくと、焦らずに必要な情報のみを説明することができます。また、慣れないうちは、日誌を見ながら話すのもアリ。ただし、下を向いたまま話すと声が聞き取りにくくなってしまうため、日誌に目を通しながらも前を向いて話すようにするのがポイントです。
人前で話すのに慣れないうちは、声が小さくなってしまったり、早く終わらせたい気持ちが先行して早口になったりしがちです。
朝礼は当日の工程や安全の周知徹底のために行なわれるので、大事なことが伝わらない話し方では意味がありません。また、小さな声で早く話す姿は、周囲に悪い印象を与える可能性もあります。
朝礼を担当する際は、ハキハキと大きな声で、早口にならないように意識しながら話すようにしましょう。
朝礼をどのように進めていけばいいのか分からないという人は、ほかの現場監督の朝礼を参考にするのが一番手っ取り早い上達法です。
朝礼を聞く立場から客観的に見ることで、ほかの人がどんな話をしているのかをはじめ、伝わりやすい声の大きさや言い回し、視線などを参考にできます。もしも分かりにくかった部分があれば、どのようにすれば伝わる朝礼になったかを考え、自身の朝礼に生かしましょう。また、可能であれば、朝礼の進行が上手い人にコツを聞いてみるのもおすすめです。
大きな声で朝礼を進行できるか不安な人は、まず最初の挨拶を元気よくはじめてみましょう。最初から小さな声ではじめてしまうと声を大きくするタイミングを逃してしまい、緊張を強める可能性があります。
元気のよい挨拶からはじめれば勢いがつき、そのまま大きな声で朝礼を進めやすくなるため、声出しの準備運動のつもりでやってみるのがおすすめです。
緊張の緩和には体を動かすことが効果的とされているため、説明する際はジェスチャーを交えながら行なってみましょう。
また、直立不動で説明するよりもジェスチャーを交えたほうが聞き手の関心を集めることができるので、説明がより伝わりやすくなるメリットもあります。
大げさな身振りでなくても、たとえば説明に数が出てくるときに指で表したり、地図の位置を指で指し示したり、といったさりげないジェスチャーでも効果的です。ただ、ジェスチャーを多用すると効果が薄れてしまうため、特に伝えたいポイントで使用しましょう。
新人の現場監督であれば、最初に緊張していることを素直に口に出しましょう。緊張を隠そうとすると余計にあがってしまい、失敗につながりかねません。
新人の頃に朝礼で緊張した経験を持つ現場監督は多いため、無理をせずに緊張していることを口に出すことで、少しの失敗やミスでも温かく受け止めてもらいやすくなります。
また、先輩の現場監督に次回の朝礼についての相談もしやすくなるので、新人ならではの特権として素直に口に出すのはおすすめの方法です。
朝礼で簡単なスピーチを頼まれたけど話すネタがないという人は、自分のことについて話すのがおすすめです。
自己紹介をする場合は1度にネタを詰め込むのではなく、「出身地」「これまでの仕事の経歴」「趣味」など話題を分けると朝礼のネタに困りません。自己紹介なら職人さんに自分について知ってもらえ、同じ出身地や趣味を持った職人さんとのコミュニケーションのきっかけになるメリットもあります。
ネタに困らない話題としては、現場での職人さんとのエピソードを話して日頃の感謝を伝えるのもアリ。感謝を伝えることで職人さんのモチベーションもあがりますし、頑張りをきちんと見てくれている現場監督として職人さんとの関係を良好にすることもできます。
朝礼のネタとして活用できるように、職人さんとの交流で何かあれば忘れないうちにメモをとるようにしておきましょう。また、日頃から職人さんと交流を図るようにしていればネタ切れもしにくいため、積極的にコミュニケーションをとっていくことも大切です。
SNSにはさまざまな情報があふれているため、朝礼のスピーチネタで困ったときは上手に活用しましょう。
ネタを探すときは、建設系の話題や全国で起きた事故の話など、仕事と関係のある情報が◎。そのほかにも、スポーツ選手や著名人などが逆境を乗り越えた話なども仕事のモチベーションアップにつなげることができます。
工事現場では毎日朝礼を行うのが恒例です。
これは「安全朝礼」とも呼ばれるもので、作業員の気を引き締め、安全を確保する大切な場です。
朝礼では現場監督から一言あるのが通例ですが、毎朝同じことを言われるとマンネリ化してしまい、作業員も気が緩みがちになります。
そこで、作業員が安全確認へと意識が行くように、朝礼でネタとして使える話題を集めてみました。
これから現場監督を目指す方々も、ぜひ参考に読んでみてください。
ハインリッヒは人の名前です。「ハインリッヒの法則」は、労働災害に関わる言葉です。
その人はアメリカの保険会社で働いてました。あるとき、とある工場で起こった労働災害を調査したところ……。
1件の重大な事故の陰には、29件もの小さな事故が、さらには事故寸前の異常が300件も隠れていたのです。
この数字から「1:29:300の法則」と呼ばれることもあります。
つまり、そのうちのどこかでシステムや環境が見直されていれば、重大な事故は防げたのかもしれないのです。
重大な事故は小さな事故を防いでいれば起こることはなく、小さな事故はわずかなヒヤリハットを見逃さずに改善していれば発生しないという例でした。
「ABC」には色々な意味がありますが、工事現場においてはこんな言葉の頭文字になっています。
それは、A「あたりまえのこと」を、B「バカにしないで」、C「しっかりやろう」です。
「あたりまえのこと」は「基本」ととることもできます。
挨拶などの礼儀や、服装を整えるといった身だしなみ、さらには工事における工程にも、慣れてくると「できて当然」と思い、つい気が緩んでしまう部分があります。
できて当然のことは決してバカにせず、初心を忘れずにしっかりと行いましょう。
皆さんは今日、家を出るときに鍵をかけてきましたか?
コンロの火はちゃんと消しましたか?
テレビやエアコンはつけっぱなしではないですか?
こう聞かれると、ひとつぐらい不安に感じる事柄があるのではないでしょうか。
そこで、駅員さんの指差し確認を思い出してみてください。
安全をわざわざ指をさし、声を出して確かめています。
安全確認は目視で済むように思われますが、人は単純な作業に慣れてくると確認をしているようで確認していないことが多々あるものです。
どんな慣れた単純な作業であっても緊張感を持ち、確認作業を忘れないようにしましょう。
UFOは本来、未確認飛行物体の略ですが、工事現場などにおいては、とある言葉の頭文字になっています。
「U」は「うっかり」の頭文字。
慣れた作業だとつい気が緩みがちになるので気持ちを引き締めましょう。
「F」は「不安」です。
作業をしていると、わからないことや判断できないことが出てきて、不安な気持ちに陥ることがあります。こうした不安については人に聞くなり調べるなりして、なるべく早く解消し、作業を続けましょう。
「O」は「横着」の頭文字です。
単純な作業や、いつもと同じ手順の作業だと、ついつい横着しがちになります。面倒だからと言って省略することなく、基本に従って作業しましょう。
そして、空に本当のUFOを見つけたときにも、足もとには充分気をつけてください。
「H」には数多くの意味が含まれており、「3H」と聞くと真っ先に鉛筆を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、そうではありません。
ここで言う「H」は3つの頭文字からなる言葉で、作業におけるエラーしやすい「3H」を指します。
それが、初めての「H」・変更の「H」・久しぶりの「H」です。
初めての「H」は作業の初回のこと。まだ慣れないうちは、工程がうろ覚えであったり、これまでに手がけた似たような作業と同じであると思い込んだり、ミスが多くなりがちです。
変更の「H」は、作業の企画や工程が変わったときの話。うっかり以前と同じ企画や工程で行ってしまうなど、ミスが増えることがあるので注意しましょう。
久しぶりの「H」は、その言葉通り、長らく扱っていなかった作業に戻るときです。忘れていることがないか事前の確認が大切です。
「他山の石」は、もともとは中国最古の詩集から由来する言葉です。
「自分には関係なく役に立ちそうもない石でも、自分の持っている石を磨くのに使える」という意味です。
つまり、自分とは直接関係のない事柄であったとしても、その情報を参考に自分を磨くことができるというたとえです。
海外や他社で起こった事故であっても、その原因となったことなどを知れば自分の周りで事故を起こすことを防ぐことになります。
身を引き締めて作業しましょう。
「ピノキオ」は子供向けのお話に登場する操り人形です。
木でできていることから燃えやすそうに思えますが、この「ピノキオ」が火事のときにはとても頼りになるのです。
皆さんは消火器を実際に使ったことはありますか?
消防訓練で火を消す場面を見たことはあっても、実際に使用したことがある人は少ないことでしょう。
万一、火事になったときには、先ほどの「ピノキオ」が消火器の使い方を教えてくれます。
「ピ」は、ピンを抜くこと。
「ノ」は、ノズルを火に向けること。
「キ」は、距離を取ること。
「オ」は、押す!
消火器を使う手順は「ピノキオ」で覚えましょう。