このページでは、現場監督として働く新人がやるべきことや、注意すべきポイントなどについて詳しく解説しています。
新人の現場監督は、経験の浅さや知識の不足についてベテランからなめられてしまうこともあるでしょう。しかし「新人である」ということは、なめられやすいというデメリットを生じさせると同時に、ベテランや先輩へ分からないことを相談しても許されるというメリットでもあります。
疑問点や不安なことがあれば、積極的に質問・相談をするようにしましょう。経験者の知恵を借りると同時に、コミュニケーションをとるきっかけが増えれば、自分の能力を高めるだけでなく、現場の人たちとの関係構築も望めます。
新人が先輩やベテランへ質問しやすい立場にあるとして、せっかく教えられた内容をきちんと実践できなかったり、何度も同じことを聞いていたりすれば、新人現場監督という評価が、単に能力が足りない現場監督という評価に変わってしまいます。
初めのうちは経験の少なさに起因したミスとして許されたことも、学習し改善するそぶりがみられなければ、「能力不足によるミス」と扱われるようになります。これが当たり前になってしまうと指揮系統が崩壊し、現場監督として現場の作業員や職人をまとめ上げられません。
一度質問したことは忘れないようにメモを取ったり、アドバイスはすぐに実践したりして、話を聞いていること、教わったことを実践していることをアピールするようにしましょう。
現場監督という立場上、他の職人へ指示を出したり、時には指導したりといったことも必要です。しかし現場の工事作業を支えているのはそれぞれの職人であり、職人はそれぞれプロフェッショナルとしてのプライドも持っています。
ただでさえ新人だからとなめられやすい中で、言うことを聞かせようと乱暴な言い方をすれば、結果的に信頼関係が壊れてしまいます。
新人現場監督にとって重要な仕事の1つが、現場の人々とのコミュニケーションをとることです。
積極的なあいさつや会話、敬意を払いながらの質問や相談など、自分からコミュニケーションを図っていくことで、信頼関係を強化して人間関係を広げるきっかけを増やせます。
どうしても現場経験の不足しがちな新人だからこそ、コミュニケーションによって自分の味方を増やすことが大切です。
新人の間は現場作業や資料の確認などに慣れておらず、職人から急に質問された時に戸惑ってしまうかもしれません。しかし、新人であっても現場責任者として従事する以上、覚えておくべき知識や把握しておくべき図面などはあり、それらをきちんと理解しておくことで、職人からも一目置かれる存在になります。
時には厳しい職人もいますが、むしろそのような職人に仕事ぶりを認められれば、大きな自信になるでしょう。
分からないことについて知ったかぶりをせず、分からないと素直に言うことも大切です。しかし、先輩や職人から教えられたことをいつまでも覚えていなければ、教える方も成長を見られずに、匙を投げてしまうかもしれません。
教えられたことをきちんと実践し、「教え甲斐のある新人」を目指してください。
悩んだり迷ったりした時、ただ待っているだけで成長は見込めません。
分からないと伝えることで叱られる時もあるでしょうが、それでも自分から声を出していくことで、学べるチャンスが広がります。
新人の間は個々の作業に追われて視野が狭くなることもありますが、全体的に物事を見通す意識も大切にして、仕事の流れを把握できるようになりましょう。
知識や経験がなければどうして良いのか分からず、指示待ち人間になってしまうこともあります。しかし、指示を待つだけではそれ以上の成長を目指すこともできません。
ある程度の知識や経験を身につけた時だからこそ、自分で考えて行動できる積極性も強化していきましょう。
初めて現場監督の職に就いた新人の場合、まずは先輩や上司と一緒に行動しながら、現場監督としての仕事を覚えていきます。当分は上司の指示通りに仕事を進めていきます。その指示に従いながら、作業の意味を理解しなければいけません。
分からない点を聞けば何でも教えてもらえる環境は、新人の特権でもあります。積極的に質問して、仕事の流れの理解を深めることが大切です。
中には新人にいきなり現場を任せる会社もあるため、職場選びの際には注意が必要です。
新人の作業の大部分は現場の掃除です。現場内の掃除をしながら、現場のチェックや職人さんとコミュニケーションを図ることも仕事の一つ。
掃除は現場監督だけでなく、作業にあたる全員が意識して行わなくてはなりません。現場内を整然に保つことは、作業員の安全確保につながります。また施主が見学に来た際にも、気持ちよく迎えられるでしょう。
朝礼準備も現場監督の大切な仕事です。
新人のうちは上司の朝礼準備や実際の朝礼を観察します。自分が朝礼を仕切る様子をイメージして、要点を書き出してみると良いでしょう。
朝礼では1日の作業内容や注意事項などを説明するため、朝礼の準備は作業全体を把握する勉強にもなります。
新人は7時頃に出社し朝礼の準備をする企業が多いです。
その日の流れが分からなければ、職人さんたちは何をすれば良いのか分かりません。そのため朝礼では、朝準備した作業内容や注意事項などを職人さんたちに伝えます。
朝礼を取りまとめることで、全体を把握できるだけでなく、職人さんたちとのコミュニケーションも図れます。
職人さんが安全に作業を進められる環境作りは、現場監督の基本となる大切な仕事です。足場や階段、手すりなどの不備、現場で働く人が危険行為をしていないか、車両が近隣の通行の邪魔になっていないかなど、上司に教わりながら現場の安全をしっかり確認しましょう。
新人でも意識して取り組むことで、危険箇所の発見につながります。危険箇所を発見したら、事故を未然に防ぐために速やかに対処しましょう。
建設物が設計図通りに造られているか、建築基準を満たしている資料を残すため、現場の撮影をします。写真撮影も新人現場監督の仕事の一つです。
写真を撮る過程で、建物が出来上がっていく様子を意識して観察していくと、全体の段取りを理解しやすくなります。
現場監督は現場での業務終わりに、さまざまな書類作成や事務処理を行います。
しかし、新人に現場の担当を任せる会社はほぼ無いため、新人現場監督は主に他の担当者の手伝いをするでしょう。作業を手伝いながら、どのような事務作業が必要かを把握していきます。
作業員や職人さんたちが、現場の働きやすい環境作りは、現場監督の務めです。そのため、新人現場監督が、作業員や職人さんたちに飲み物を準備することも、立派な仕事の一つです。
新人現場監督は、仕事を覚えたり信頼関係を築いたりするために職人さんの手伝いをします。
どのような季節でも対応できるよう、体力づくりも大切です。
会社によって就業条件は異なりますが、建設現場は8時から就業開始となるのが一般的です。
新人現場監督の朝は早く、7時頃には出社します。清掃や飲み物の準備、朝礼の準備などを始める会社も多いです。
現場では毎朝、全体朝礼を行います。
現場のスタッフに1日の流れや注意事項などを伝え、朝礼後には職種別のミーティングに入ります。
作業が始まると、現場を回って歩きます。新人現場監督は、所長と現場を回った後に、掃除をはじめとした作業を行います。場合によっては、職人さんたちの仕事を手伝います。業務全体の基礎的な技術が手伝った経験により身につくでしょう。
新人はたくさんの仕事を振られるため、ゆっくり休憩を取る暇も無いかもしれません。休める場合は時間を有効に活用しましょう。
昼休憩は、職人さんたちと雑談を楽しみ、コミュニケーションを取る時間としてもおすすめ。良好な人間関係を築けば、後々、作業効率の向上につながります。
新人現場監督は、午前と同様に午後の作業も掃除が中心です。また記録のために、現場の写真を撮影します。
建設現場では、法律や設計図に従って工事が進められているか、状況を細かく記録する必要があります。
監督者が複数人いる現場では、それぞれ写真撮影する担当を割り当てられますが、監督者が少人数の現場では、新人が走り回って写真を撮影するでしょう。
一般的に、現場は17時頃に作業終了となります。
職人さんは現場から直帰できますが、現場監督は事務所に戻って事務作業をこなさなければなりません。
新人は作業中に撮影した写真を整理したり、書類作成を行います。
所属する会社にもよりますが、現場終了後のこうした事務作業は、2時間以上に及ぶこともあるようです。
現場監督の仕事を早く覚えたいならまず「仕事内容の把握」が不可欠です。現場監督はなにをすべきなのか把握していないと、段取りはできません。せっかく周囲からアドバイスされても「どうしてそれをしなければならないのか」を理解できなければ、混乱するばかりで頭の中に入ってこないでしょう。
まずは現場監督の仕事の全体像を把握することが大切です。
現場監督の基本の仕事内容は、段取り・原価管理・品質管理・安全管理です。段取りは仕事の進め方を指していて、スムーズに行わなければ時間内に作業が終わりません。間に合わせようと焦って無理に進めると、返って大きなミスや手抜き、事故につながりかねない危険な状況が生まれます。
作業に必要な資材の仕入れや人件費を含む原価管理も、仕事に含まれます。原価管理を無視すれば、いくら仕事をしても利益が出ません。適切な資材の仕入れ、職人さんに支払う給与を管理して、健全な現場の運営を行います。
建物そのものや建設資材の品質管理は、現場監督によって担保されます。無理をして他社より極端に安値で仕事を請けた結果、完成した建物に問題があれば依頼主からクレームも出ます。悪い噂が流れると会社の信頼も失われるでしょう。
現場監督は安全で欠陥のない施工を目指し、細部にいたるまで管理を行きわたらせる責任ある役割です。
同様に、安全管理も重要。職人さんに無理なスケジュールを組んで事故が発生してしまえば、現場監督の管理不行き届きとして責任問題に発展します。依頼主からしても、事故が多発する会社に任せたいと考える人はいないでしょう。
現場監督が担当するのはどれも重要な仕事です。会社や職人さんの評判にも大きく影響するでしょう。現場に出る前から、仕事の内容は正確に把握しておく必要があります。
新米の現場監督は、現場で覚えることがたくさんありますが、現場の実態を把握することで早く仕事が覚えられます。いつ・誰が・どこで・どんな作業が必要か、適切に判断できるようになるでしょう。現場を知らないと、無理な要求を職人さんにしてしまい、うまく現場が回らなくなる可能性もあるので注意しなければなりません。
まずは現場を正確に把握するために、作業に入る前に建設計画を図面に書き起こします。設計構造や建物のイメージを掴むことからはじめましょう。現場において設計図の位置関係が把握できている状態が理想的です。的確な指示を出すためにも、現場監督が一番現場を理解している必要があります。
メモは仕事の基本です。現場では多くの情報が次々と入ってきます。その時は覚えていても、記憶だけを頼りに後から思い出すのは、仕事においてあまり現実的な手法ではありません。
メモを取っておけば、後から読み返せるため心にも余裕が生まれます。万が一抜け漏れが発生しても、業務後に見返すことで早い段階で対処できるでしょう。
「ちゃんと人の話を聞いている」と相手にも伝わるので、安心感を与えられます。先輩や職人さんとの円滑なコミュニケーションにも役立つはずです。
録画や録音も、仕事を覚えるには有効な方法です。視覚や音声は、文字情報より内容がわかりやすく、メモとして書き出す手間も省けます。
文字だけだとわかりにくいような作業工程、ケースバイケースの注意事項なども理解しやすくなるでしょう。録画や録音をする場合は、事前に会社や現場の担当者に許可を得るのがマナーです。
現場監督は指示する立場だからといって、職人さんより偉いと勘違いしてはいけません。現場でひとつの仕事を完成させるには、上下関係ではなくチームで助け合って仕事を進める意識が大切です。
人間関係をないがしろにすると、仕事を早く覚えるどころか誰からも相手にされなくなり、現場監督として能力不足と判断されてしまうでしょう。
慣れない現場でも馴染む努力をすることで、職人さんからも認めてもらえるようになります。現場から認めてもらえれば、仕事のやり方も教わることができ、いざという時は助けにもなってくれるはずです。現場監督としてレベルアップするには、必要不可欠なスキルとも言えるでしょう。
現場にいる先輩や上司が、どんな風に仕事をするのか観察してみましょう。見て覚えるというのも、仕事の覚え方の基本です。
疑問点があれば、自分から積極的に質問します。「先輩は手取り足取りすべて教えてくれる」と勘違いしていると、いつまでたっても仕事は覚えられません。自力で仕事を覚えに行く姿勢が、成長への近道です。
疑問点を放置していても解決はしませんし、仕事の仕方に不安があるとミスを誘発します。新人の時期に、可能な限り疑問点をつぶしておきましょう。
ベテランの職人さんも頼りになる存在です。職人歴数十年ともなれば、現場監督より知識や経験を持っていることもあります。観察することで、職人さんならではの視点を養うこともできるでしょう。
現場監督として新人の頃は、仕事にもなかなか慣れることができない上に環境に悩んでしまうケースも多いですが、これは当たり前です。ここでは、よくある「新人の現場監督が感じる壁」を紹介します。対処方法についてもまとめていますので、ぜひ参考にしててください。
新しい現場に現場監督として入った場合、周りから話しかけられることが少なく疎外感を感じることがあります。しかし、これは「今は必要がないから声をかけない」だけであり、必要なときにはきちんと声をかけられるため、あまり気にする必要はありません。
ただし、ずっと誰とも話をしない状態が続くのは辛いと感じる人が多いでしょう。そこでおすすめなのがこちらから「聞く」ということです。職人が何をしているかわからなければ積極的に聞いてみましょう。そして、答えをもらえたらしっかりとリアクションをする、ということを繰り返しているうちに現場の職人と一歩ずつ近づけるはずです。
現場のベテラン職人との関係性に悩んでしまうこともあるでしょう。仕事の内容がわからず、職人から何か聞かれたときにきつい一言を言われる場合もあるかもしれません。また、現場ではさまざまな人が働いていますので、中には怒りっぽい人もいる可能性もあります。
ただし、仕事ではきついことをいっていても根は優しいというケースもありますし、毎日一生懸命仕事に取り組んでいるうちに、助けてくれるようになります。
建築業界には「仕事は現場で覚えるもの」という風潮がまだ残っていますが、現状新人が続かない・若手が育たないといった現状があります。これは、教育体制についても課題があるといえます。
このことから、新人研修はやはり必要なものであると考えられます。新人研修を行うことにより、現場で必要となるある程度の知識や意識すべき内容が頭に入っているだけでも、上記でご紹介した「壁」への向き合い方が大きく変わってくるといえるでしょう。
工事の種類や各現場によって多少違いますが、ほとんどの場合、現場監督の業務は多岐に渡っています。そんな中、現場監督になって1年目ともなれば、仕事を覚えることで精一杯な人が大半ではないでしょうか。
2年目以降からはやっと小さな仕事の管理を任されたり、大きな仕事にも携われるようになってきます。新たな後輩となる立場の人も現場に入ってくることでしょう。
責任感が増すのはもちろん、現場監督であることに誇りを持つと同時に周囲に礼儀をきちんと払い、社会人としてもますます身を正す必要があります。
現場監督の仕事にもなじんでくると、さらに大きな仕事を手掛けてみたいと思うのはごく自然なことではないでしょうか。
現場監督の仕事の多くには資格が必要ですが、どの資格にも大抵は1級と2級があり、2級よりも1級のほうがより大規模な工事の現場監督に就くことができます。
ただ、どの資格も同じ受験資格や条件というわけではないため、事前に確認を。中には一定の実務経験を求められるものや、2級に合格していれば1級の試験を受けるときに実務経験が免除されるものなどさまざまです。
現場監督は工事の種類によって求められる資格が異なっていますが、全ての工事において、持っていると便利なおすすめの資格を集めてみました。
「建築施工管理技士」は、建築工事の現場監督に必要とされる資格です。これを取得しておくと、広く需要のある建築工事全般の施工管理が行えます。
建物の設計を行う建築士は設計士と混同されがちですが、きちんとした区別があり、建築士は国家資格、設計士は資格なしで名乗ることのできる職業です。
建築士も工事現場にて監督を行うことができ、設計図の通りの工程が進んでいるかなどの確認作業を行います。
電気工事の現場監督に就くためには「電気工事施工管理技士」の資格が必要です。ただし、この電気工事施工管理技士は、あくまで管理を目的とする資格です。自ら電気工事を行うためには別途、「第二種電気工事士」の資格が必要となるのです。
電気は電動工具を動かすなど工事においても必要不可欠な要素ですので、持っていると何かと便利です。
また、二種の上には第一種電気工事士があり、あらかじめこの資格を取得していれば、電気工事の現場監督に必要な「電気工事施工管理技士」の試験を実務経験なしで受験することができます。
建築施工管理技士・建築士・第二種電気工事士の3つの資格を取得するなら、どのような順番がおすすめでしょうか。
建築施工管理技士と建築士に関しては、受験資格や試験対策の学習内容を考えると、次のような順番がおすすめです。
第二種電気工事士の資格試験には、受験資格が特に設けられていません。そのため一番最初に取得しても、また、都合によっては最後にしても、ほかの2つの試験への影響はあまりありません。
現場監督としてのスキルやレベルをアップさせるためには、第一線で活躍するベテランの現場監督や先輩の現場監督が働いている様子を知ることも大切です。
何事も経験は大きく物を言います。
長年、現場監督の仕事に携わっているベテランは、常に落ち着いています。
工事現場で起こったトラブルは、判断を誤ると取り返しのつかないことにもなりかねません。
多くの経験を積み、あらゆるパターンに対応できるようになることが重要です。
慌てないことは、ミスの回数を減らすことにもつながります。また、落ち着くことで心に余裕が生まれ、より正しい判断ができるようになります。
たとえ判断を誤ったとしても素早く訂正を行い、新人がミスをしたとしてもしっかりとフォローすることが大切です。フォロー力の高い現場監督には信頼が集まり、現場の雰囲気が良い方向に向きます。
目標を設定して達成に向けて動くことも、仕事を覚えるのに有効です。
「この作業を確実に実行する」「この工程までは今日で終わらせる」など、小さな目標だと達成しやすいので効果的です。目標を達成した成功体験は、モチベーションのアップにもつながります。自分にあった仕事の方法を見つけることで、効率の良い仕事の仕方も覚えられるでしょう。
逆に「1日で100通りの方法を覚える」といった、無理な目標設定は避けてください。達成できない目標が続くと、自信とやる気がなくなってしまいます。
小さな目標が達成できなかった場合は、振り返って原因や解決方法を考えることで、仕事内容が改善されます。自分の知識と経験になり、いつのまにか仕事を覚えて一人前の現場監督に近づけるでしょう。
仕事は学生時代に培った勉強が、通用しないこともたくさんあります。自信が打ち砕かれることもあるかもしれません。しかし今第一線で活躍する現場監督も、同じ道を通ってきたのです。コツコツ知識と経験を積み重ねることが、仕事を覚える近道と考えましょう。