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現場監督が施工管理で重要視する【QCDSE】を解説

施工管理を行うにあたり大前提とされている「QCDSE」の認識。QCDSEとは、次の5つの単語の頭文字から出来ています。

  • Quality(品質)
  • Cost(原価)
  • Delivery(工期)
  • Safety(安全)
  • Environment(環境)

建設現場においてはこの5要素の管理が重要です。

QCDSEの意味を解説

Quality(品質)

建造物は、強度や構造が必要な基準を満たしているか、設計通りに建設されているかで「品質」を決められます。施工後数十年と長期間にわたって使用していくため、建造物の安全性は適切に保障されなければなりません。

品質を守るため、設計書通りに工事が進んでいるかの確認はもちろん、工事の進捗ごとに記録として写真を撮影したり、技量証明書の作成を行ったりして品質の安全性を示す場合もあります。

Cost(原価)

品質が高い建造物を作っても、コストが高くなってしまえば企業として利益を確保できません。コストには材料費や原料費だけでなく作業員の人件費も含まれますので、作業員の人数を適切なものにする必要があります。

工事が始まる前に作成する実行予算書では費用と利益目標額を決めていますが、工事が実行予算通りに進むとは限りません。赤字になりそうな場合はその都度予算管理を見直していきましょう。

Delivery(工期)

建設現場では、期日を守るための適切なスケジュール管理が求められます。ただし、いくら期日に間に合わせても品質や予算が伴っていなければどうにもなりません。

現場監督は、作業項目、日数、工事の進捗率などを踏まえた工程表を作成しますが、その際には余裕を持ったスケジュールにする、予算を超えないようにするといった工夫が求められます。

また長期の工程表だけでは、トラブルで予定が崩れた際の対応が難しくなるため、短いスパンでの工程表も必要です。

Safety(安全)

建設現場での作業には危険が伴いますので、作業員が怪我をしたり事故が起きたりしないようにきちんと安全管理をしなければなりません。現場で事故が起きると、工事が中断し納期に間に合わなくなる恐れも。自社の評判にも大きく影響します。

作業員が安心して作業できるよう、事故が起こる可能性のある場所をチェックし注意喚起をしましょう。次のような対策も有効です。

  • 開口部の滑落防止手すりの設置
  • 安全帯使用の徹底
  • 危険看板の設置

また、使用機器の定期的な安全点検や、当日の作業注意点を朝礼で確認する、実際に起こったヒヤリ・ハット体験を作業員全体で共有するといったことも重要です。

Environment(環境)

環境管理には、以下の3つが挙げられます。

  • 自然環境
  • 周辺環境
  • 職場環境

工事によって環境(建設現場周辺の空気や水、土壌、地盤)を汚染しないこと、騒音や振動、粉塵や重機の排気ガスなどによって周辺住民が被害を受けないこと、そして現場作業員が働きやすい環境を整えること、現場監督はこれらをきちんと管理する必要があります。

建設現場の立地状況や工事内容によっては優先順位が変わる場合もあるでしょう。各現場でどの環境が重視されるのか、対策を取るべきか、工事を始める前の調査による判断が求められます。

建設現場での優先順位は【QCDSE】通りとは限らない

施工管理を行う上でQCDSEが重要であると解説してきましたが、現場での優先順位はQ→C→D→S→Eとは限りません。

施工管理においては、まずSafety(安全)が優先されます。「事故を起こさず無事に工期を迎えられる」、これが最重要項目です。安全に作業を進めるためにはEnvironment(環境)の考慮も重要であり、安全と環境が整えば良いQuality(品質)に繋がります。

このような点を認識した上で、施工管理を行っていきましょう。

ビジネスシーンで
用いられる「QCD」

QCDSEは建築業界で用いられている言葉ですが、ビジネスシーンではその中の3つを抜粋した「QCD」が用いられています。

ここで抜粋されているのはQuality(品質)、Cost(原価)、Delivery(納期)ですが、「安定した品質(Quality)」を、「原価を抑え(Cost)」、「納期を守った状態で(Delivery)」提供することが重要だと考えられているのは建設現場と同じでしょう。

建設現場において更にSafety(安全)とEnvironment(環境)が加わっているのは、作業員が安心して作業できる環境こそが建造物の品質向上に繋がると考えられているためです。

建築施工管理を行う上で
QCDSEは欠かせないもの

建築現場では建造物の品質を重要視するのは当然ですが、品質は原価を抑える・工期を守るだけでなく現場が安全な環境で作業が出来てこそ成り立つものです。QCDSEのどれか1つが欠けてしまえば、品質の良い建造物にはなりません。

現場監督は品質を高めるため、また現場作業員が安心して作業するための環境を整備することが大切です。