現場監督が担っている安全管理について、職務内容の概要や難易度のほか大切なポイントを紹介していきます。これから現場監督を目指す方は、安全管理の重要性も理解しておきましょう。
現場監督の仕事は「品質管理」と「原価管理」、「工程管理」、そして「安全管理」の4種類に分かれています。その中で安全管理とは、現場での事故を防ぐために設備や環境を整えたり作業員に安全指導を行ったりする業務全般のことです。
建設現場では、以下のような事故も想定されます。
建設現場で働く作業員は、ヘルメットの着用や作業への集中などによって、周辺の状況を正確に把握できないこともあります。そこで、現場監督が危険な箇所を事前に察知し、安全対策を施したり作業員へ情報共有したりします。
安全管理では、危険および不安全と考えられる環境を排除します。具体的には「危険かもしれない」といった視点で、設備や現場環境をチェックするのが基本です。
現場の足場に不安定な箇所があれば、転倒や落下の危険があるかもしれないと考え、足場の補強を行います。環境設備の改善はもちろん、工事そのものを中止する場合もある点に注目です。たとえば雷雨や暴風が予想されている日は、感電や部材の落下など様々な事故も想定し工事を中止します。
安全管理は、常に「かもしれない」という考え方で現場を管理し、事故を未然に防ぐわけです。
安全管理にかかわるひとつの考え方は、「大丈夫だろう」「うっかりしていた」などといった油断を排除することです。誰もが不注意や誤った判断をしてしまいます。しかし、こうした不注意や誤った判断は重大事故へつながるため大変危険です。
そこで現場監督は、全作業員へ安全対策に関する指導と育成を行います。現場での事故は、人の誤った判断や作業が原因です。そのため、人の行動や意識、判断を是正する必要があります。
安全管理では、作業員へ安全対策を徹底してもらうのが難しいポイントです。安全対策の内容が伝わらなければ理解してもらえませんし、感情的に伝えても説得力はありません。そこで、安全管理で覚えておくべきポイントを紹介していきます。
KY活動とは、危険予知活動のことです。危険予知活動では、朝礼後に各班で集まり、各作業員と共に具体的な安全対策や気を付けるべき作業内容など、細かく確認していきます。現場監督が一方的に指示を行うより、安全意識の向上につながりやすいのも大きな特徴です。
作業員へ危険な作業や作業箇所など説明しても、原因と結果を論理的に伝えられなければ説得力がありません。また、単に危険という点を強調しても、何が危険なのか伝わりません。
現場監督は、危険な状況と事故が起こるまでの経緯、事故が起こった際の被害を含め、細かく伝える必要があります。たとえば重量物を手で運んでいる際、万が一物を落としてしまうと足に落ちて骨折につながります。
このように何をどのようにどんな方法で作業すると、どのような事故や危険につながるのか順序だてて説明できるよう練習しましょう。
論理的思考で説明する時は、数字を用いると具体的にイメージしてもらえます。たとえば、「Aの作業を適当に準備しますと、多くの方が怪我をします。」と説明しても、作業員は具体的な危険性をイメージできません。説明の際は、「Aの作業をBという方法で準備しますと、100人中90人が怪我をします。」など、具体的な数字を示しますと説得力も増します。
日々、作業員や施工主と打ち合わせする時は、データ・数字を用いながら正確に伝えられるよう意識しましょう。
現場監督の仕事は、施工品質やコスト、スケジュール管理のほかに、現場の安全を保つ「安全管理」も含まれています。安全管理は、「危険かもしれない」という意識で現場や作業方法を管理し、「大丈夫だろう」といった油断を排除するのが基本です。
作業員へ安全意識や安全に関する対策を伝える時は、論理的で分かりやすい説明を心がけましょう。分かりにくくあいまいな説明は、作業員にも伝わりません。現場監督の仕事を目指す方は、安全管理や論理的思考に関連する勉強を行うのが大切です。