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電気工事施工管理技士の資格を目指す

建築や土木、管工事等、いくつかの種類がある施工管理技士資格。このページでは現場監督を目指す人のために「電気工事施工管理技士」の資格内容や取得方法についてまとめています。

電気工事施工管理技士とは?

資格の特徴

電気工事施工管理技士とは、照明装置や送電・変電設備、各種配線工事といった電気工事に関わる現場で、現場監督として施工管理(品質・工程・安全・コスト)を行うための資格です。

電気工事施工管理技士には1級と2級の区別があり、1級は2級よりも管理できる工事の規模や範囲が広くなります。また1級電気工事施工管理技士であれば、主任技術者や専任技術者のほか監理技術者の役目も担えるため、大規模な工事を行う企業では需要の高い資格と言えるでしょう。

電気工事施工管理技士と電気工事士の資格は異なる

電気工事施工管理技士はあくまでも「電気工事の施工管理を行う責任者」であり、電気工事士の資格取得者のように電気工事そのものを担当することはできません。

ただ電気工事施工管理技士は電気工事や電気設備などについて豊富な知識や経験を有している専門家であることには違いないため、合わせて電気工事士の資格を取得する人も少なくありません。

また第一種電気工事士の資格を取得している人であれば、電気工事施工管理技士の受験資格として必要な実務経験が免除されることも特徴であり、二つの資格を取得すればキャリアアップに繋げられることも。

資格の取得方法

資格取得には施工管理技術検定を受験して、それに合格する必要があります。

1級・2級ともに検定試験には第一次検定と第二次検定が用意されており、第一次検定に合格した人のみが次の第二次検定に進めるため、まずは第一次検定の合格を目指すことが資格取得の大前提となります。

資格取得の条件

2級の場合

第一次検定のみであれは17歳以上が受験できるものの、第二次検定へ進むには実務経験が必要です。実務経験は最終学歴によって短縮され、大学の指定学科卒業者であれば年数も短縮されます。

1級の場合

大学の指定学科卒業者であれば卒業後3年以上、中卒者であれば15年以上というように、学歴に応じた実務経験年数が求められます。

電気工事士など関連資格を保有していれば実務経験が免除されるため、先に電気工事士の資格を目指すのも一つの方法として挙げられるでしょう。

電気工事施工管理技士の資格取得のメリット

電気工事施工管理技士資格を取得するとさまざまなメリットが得られます。ここでは、どのようなメリットが期待できるのかといった点についてまとめています。

主任技術者・監理技術者になれる

電気工事の現場には資格を持っていなくても関わることができますが、例えばその現場の主任技術者や監理技術者の役割に就きたいと考えている場合には、電気工事施工管理技士の資格取得が必要となってきます。

例えば1級電気工事施工管理技士の資格取得者は、下請金額が4,500万円を超える大規模な工事(建築一式工事の場合は7,000万円)において、監理技術者として働けるようになります。また、2級電気工事施工管理技士の資格を取得した場合には、監理技術者を置く必要がない現場において主任技術者の役割に就くことができるようになります。

それぞれの級で担当できる役割が異なるものの、資格取得前よりも仕事の幅を広げ、責任のある役割に就けるようになります。さらにステップアップしたいと考えている方は、資格の取得を目指してみることがおすすめです。

経営事項審査で評価を得られる

電気工事施工管理技士資格取得者が企業内にいる場合には、その企業にとっても大きなメリットがあります。これは、国や地方公共団体が発注する公共工事を直接請け負おうとする建築会社は、必ず「経営事項審査」を受けることになりますが、資格取得者がいることによってこの審査で高い評価を得られるためです。

資格取得者がいる業者の場合には、この経営事項審査において技術力に関する評価が上がることから、入札の際に有利に働くことになります。

そのため、電気工事施工管理技士の資格を取得することは、自分自身にとってもメリットが大きいという点に加えて自分が所属する企業にとっても大きなメリットとなります。

キャリア・給与アップにつながる

電気工事施工管理技士の資格を取得した場合には資格手当による給与アップも期待できますので、あらかじめ資格取得の前に自分の会社の規定を確認しておくと良いでしょう。また、前述のように資格取得によって自分が担当できる業務の幅を広げられるため、キャリアアップにもつながるはずです。

さまざまな分野への転職に有利

電気工事施工管理技士の資格を持っているということは、「電気工事のスペシャリスト」として認められたということになります。このことから、電気工事を中心として手掛けている企業への転職や、大手ゼネコンの設備管理課など、さまざまな企業の転職が有利に進められるようになる可能性がある、という点もメリットのひとつといえるでしょう。

必要な勉強時間

まず、1級電気工事施工管理技士の一次試験向けの勉強を行う場合には、「80時間程度」を目安にすると良いといわれています。さらに、あまり長い期間ではなく2ヶ月程度でスケジュールを組んで進めると良いでしょう。例えば仕事をしながら合格を目指す場合には、平日は1時間・休日は3時間といったように、休日の分量を多めにすることがおすすめです。

勉強方法

電気工事施工管理技士試験を受験する場合には、さまざまな勉強法が考えられます。自分に合った勉強方法を見つけることが合格を目指す重要なポイントともいえますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考書

参考書を購入して独学をするのがまずひとつめの方法です。参考書での勉強は自分のペースで進めやすく、モチベーションも保ちやすいといえるでしょう。また、参考書を持っていればいつでもどこでも勉強が進められるという点も参考書を使用するメリットです。

ただし、参考書を使った場合には他の人に聞くことが難しいため、わからないところを放置する可能性も。もしわからない部分が出てきたら、その部分について理解できるまで勉強しましょう。

動画教材

講師が講義を行っている動画をDVDやインターネット経由で閲覧しながら勉強する方法もあります。まず、動画教材を購入して勉強を進めていく形になりますが、「見たい部分を何度でも見られる」という点が特徴といえます。

また、有料の動画教材の場合には、わからない内容を講師にメールなどを使って質問できる、という特典がついているものもありますので、不明な点をそのままにしてしまうといったことも少ないでしょう。

専門学校

電気工事施工管理技士の試験対策のコースを用意している専門学校に通うという方法もあります。この場合は、試験合格を目指したカリキュラムが組まれていますので、しっかりと学習を進められるでしょう。また、講師が目の前にいるため、もしわからない部分が出てきてもすぐに質問することができます。

もし、参考書を読んでもわからないところが多い、勉強しても理解できない部分があるといった場合には、専門学校で学ぶという点について検討してみることがおすすめです。

勉強のコツ

電気工事施工管理技士試験の合格を目指すための勉強を進めていく中で、ポイントとなる部分をご紹介します。下記の内容を押さえて勉強に役立ててください。

過去問を繰り返し解く

試験の対策としてまず行いたいのが、「何度も過去問を解く」こと。過去問を解くことによって試験の傾向を把握できるとともに、自分がどの部分を苦手としているのかがわかります。このことで、どの部分を重点的に勉強すれば良いかはっきりするため、勉強が進めやすくなるでしょう。

必須問題を優先的に勉強

勉強を進める上では、「必須問題」と「選択問題」の2種類があります。この部分については、必須問題の方が優先度が高いためにまずこちらを勉強する方が効率的です。必須問題をしっかりと学習したら、次に選択問題の勉強に進むのがおすすめです。

経験記述を対策

二次試験では、「経験記述」の問題も出題されます。施工経験を元にし、テーマとなっている分野に関して文章を記述するという内容になっていますので、文章が苦手な人は特に対策をしておく必要があります。

ちなみに、この部分に関しては採点に関する情報がないため、まずは誰にでも伝わる文章を書けるようになることが大切です。周りの上司などにフィードバックをもらうのもひとつの方法といえるでしょう。

電気工事施工管理技士に求められる業務内容

電気工事は漏電や感電の危険がある他、配線は壁や天井の中に隠れてしまうため、正確かつ安全な施工管理が求められます。また設置する機械や設備に応じた電力計算など、全体のバランスを整えることも電気工事施工管理技士の役目です。

電気工事施工管理技士の将来性

電気工事施工管理技士は、電気工事の管理や監督を行うという役割があります。1級電気工事施工管理技士の資格を取得した場合には、大規模な工事で配置が義務付けられている監理技術者として働くことができるため、活躍の場は非常に広いといえるでしょう。

さらに、近年では電気工事施工管理技士の資格を持っている方が高齢化していることや、太陽光発電を住まいに取り付けるケースの増加などによって、業界全体が人手不足の状態となっています。逆にいうと、電気工事施工管理技士は活躍の場が増えており、電気工事施工管理技士の需要は今後も続くと考えられます。

また、電気工事施工管理技士の資格を持っていることによって転職に有利・給料アップにつながる可能性などさまざまなメリットがあるといえます。ぜひ電気工事施工管理技士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

電気工事施工管理技士のやりがい・魅力

人々の生活を支える仕事であること

私たちの生活において、電気は毎日使われています。電気工事施工管理技士は、さまざまな建物において安全に電気を使えるようにすることが仕事。電気は今やなくてはならないものになっていることから、電気工事施工管理技士は人々の暮らしを支える上で非常に重要な役割を果たしている、といえるのです。

収入アップにつながることがある

電気工事施工管理技士の資格を持っている場合、技術者として高いレベルの知識と技術を持つことを証明しやすいという面があります。そのため、就職や転職をする際にも有利に進められる場合もありますし、企業でも有資格者に資格手当を支給している場合もあります。

このように、電気工事施工管理技士の資格を持つことにより、収入アップを目指せるという面もあります。

需要が高い仕事であること

電気工事施工管理技士は、さまざまな建築物の電気工事に関わる存在ですが、最近は既存の建物の改修や補修を行う際の電気工事も増えてきています。修理や改修は建物がある限り繰り返し行われるために、安定した需要のある仕事といえます。

電気工事施工管理技士のきついところ

常に知識・技術を磨く必要がある

電気工事施工管理技士として仕事をしていく場合には、常に知識や技術を磨き続ける必要があります。知識や技術をしっかりと持っていることが、さまざまな工事を正確に進めることや現場をまとめ上げることに繋げられるといえます。

この部分を怠ってしまうと、良い評価を得られず若い人材にどんどん抜かされてしまうために、常に勉強を継続する、という点が重要になってくるのです。

さまざまな人とコミュニケーションが難しく感じることも

電気工事の現場では、電気工事施工管理技士が監督役のような役割を担うことが多くなります。そのため、現場の技術者をはじめとするさまざまな人とのコミュニケーションを取る必要があるため、気苦労を感じてしまうケースもあるでしょう。

体力的に厳しいことも

電気工事施工管理技士は、現場をまとめて計画的に工事を進めるためにも夕方までは現場に出て進捗を確認し、それ以降はデスクワークを片付けるなど、遅い時間までの勤務が必要になる場合も。また、重い工具や資材などを運ぶなど、体力的に厳しいと感じることもあるかもしれません。

電気工事施工管理技士の転職先

電気工事施工管理技士は、一定の経験を積んだ人しか資格を取得できませんが、現在は電気工事のニーズが増えているために資格保持者は高い待遇で採用されやすい傾向があるようです。資格を取得することで工事現場において施工管理の役割を担当できますので、活躍の場は広いといえるでしょう。

さらに、有資格者は年配層に多い傾向がありますが、徐々に定年を迎えているという現状から、若年層で電気工事施工管理技士の資格を持っている場合には歓迎されると考えられます。このように、資格を保有していることにより、転職活動を有利に進められるケースが多いといえます。

電気工事施工管理技士に向いている人

まずは「電気工事に興味がある人」が電気工事施工管理技士に向いているといえます。電気工事施工管理技士として仕事をする上では、専門的な技術や知識をどんどん取り入れて自分のものにしていく、という点がとても重要なポイントになってきます。

また、「自分の手を動かして物作りをすることが好きな人」「建物では電気がどのように流れているのか興味がある人」なども電気工事施工管理技士に向いているといえるでしょう。さらに電気工事の現場ではスピードも大切ですが、丁寧な作業ができる人が評価される傾向があるため、「細かい部分にまで気配りができる人」にもおすすめの仕事と考えられます。

上記に加えて電気工事の現場は体力勝負な部分があることから、自分の健康管理をしっかりするという点も重要なポイントとなってきます。