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現場監督が心がけるべき工期短縮

工事現場の工期短縮には多くのメリットがあります。とはいえ、無計画に工期を短くしようとしても失敗のタネにしかなりません。

工期短縮の方法や注意点についてもまとめるので、現場監督を目指す方は参考にしてください。

工期短縮のメリット

工事現場の作業を予定より短い期間で終わらせるのを「工期短縮」と言います。工期短縮にはどのようなメリットがあるのでしょうか。まとめてみました。

工事コストを削減できる

工期を予定よりも短く終わらせることができれば、そのぶん工事にかかるコストを削減することができます。

工期短縮でカットできるコストで代表的なものは、人件費や建設重機のレンタル費、工事車両費などです。いずれもクライアントや工務店、施工業者にとって、大きなメリットになります。

人材が集まりやすい

工期短縮による人件費のカットは労働者にとってデメリットと思うかもしれません。実は、正しい工期短縮は「労働環境の改善」がセット。無駄な業務もなくして生産性を高め、労働者の働き方を改善するのが、あるべき工期短縮の姿です。

工期短縮によって働きやすい現場になれば、人材が集まりやすくなります。その結果、人材不足の現場に比べていっそう働きやすくなる好循環が発生するのです。

競争力が高まる

工期短縮は、工事を発注するクライアントや行政機関にとって大きな魅力です。建設会社が工事を受注する際に「他社に比べて工期を短縮できます」と提案できれば、自社の競争力を大きく高められます。

よりよい施工体制をつくれる

工期短縮を実現するには、発注者と施工業者の密接なコミュニケーションが欠かせません。施工の協力体制をしっかりと構築するメリットは工期短縮だけではありません。「施行中に仕様が変更されることがない」「無駄な業務を求められることがない」といった副次的なメリットも生まれます。コストを抑えた、効率的な進捗が期待できるでしょう。

工期短縮の方法

工期短縮を実現するには、どのような方法があるのでしょうか。

工事のやり方を見直す

これまで行ってきた施工方法の中に、作業効率化のヒントが眠っているかもしれません。まず実施したいのはボトルネックの抽出です。

例えば、もし建材の処理に多くの時間がかかっているなら、処理を行わなくてもよい建材がないか探してみてはいかがでしょう。「同時に並行して行える作業はないか」「これまで以上に運搬効率を高めるやり方はないか」なども検討のポイントです。

工事の工法を変える

工事のやり方よりも構造的な改善を求めるのであれば、まずは「工法を変えられないか」を検討します。

さらに、「作業員を増やす」「外注業者を見直す」「建設重機を変える」といったことも、工法上の改善です。ただし、これらの変更は失敗するとコストを増加させてしまう可能性もあります。経費面でどれだけメリットがあるのか、あわせて考えながら進めましょう。

制約条件の緩和

工期短縮を実現するポイントのひとつに、「制約条件の緩和」があります。発注者に対して、「工事を進める上で求められているルールを緩和できないか」持ちかけます。

工事を進める上で、あまり意味がないにもかかわらず生産性を高める障害になっているルールがあれば、発注者に見直しを求めましょう。普段から円滑なコミュニケーションが取れていれば検討してもらえる可能性があります。

体制改善に務める

工期短縮が実現できない施工業者は、社内の体制に問題があるのかもしれません。例えば、「意思決定に他社よりも多くの時間をかけている」「業務を改善させるために必要な仕組みが作られていない」といったケースです。また、業務のデジタル化が進んでいないことも、工期を長引かせてしまう要因のひとつ。

社内体制の改善は工事現場の一存で実行できるものではありません。施工業者のトップとしっかりコミュニケーションを取りながら体制改善を進める必要があります。

工期短縮の注意点は?

工期短縮に務める上で注意すべきポイントについて見てみましょう。

労働環境が悪化していないか

無理な工期短縮で最も起きやすいのが、工事現場における労働環境の悪化。工事のやり方を変えたり工法を変えたりするなかで、しっかりと確保すべきで安全性がおろそかになっていることがあります。また、工期短縮に注力するあまり、作業員の労働時間が長引かせてしまうケースも。

労働環境の悪化は工事品質を低下させたり、事故発生のリスク増につながります。労働環境が悪化して離職率が高まれば、人材不足の問題も生じるでしょう。工期短縮は、労働環境とセットで捉えるべきだと言えます。

限界を定める

工期短縮は発注者側にとっても大きなメリットですが、「もっと短縮できるのではないか」という誤解を生むリスクもあります。工事短縮に努めることを前提に「これ以上の短縮は難しい」と限界の意識を持ち、しっかりと発注者にそれを伝えるのも重要です。

発注者はクライアントではあっても工事のプロではありません。現場監督は工事のプロとして、現実的な範囲で工期短縮を目指しましょう。