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工事現場の保険について

現場監督として押さえておきたい保険

工事現場は機械を使った作業や高所での作業など危険を伴う仕事が多いため、万が一のときに備えて保険の加入は必須です。保険の加入や契約は会社が行なうとしても、現場の安全管理を担う現場監督も工事現場に関連する保険の種類や特徴をしっかりと理解しておいて損はありません。

工事現場に関する保険にはさまざまな種類があり、保険商品によって補償内容が異なります。ここでは「建設中の建物や設備・備品などの被害に備える保険」、「人や物への被害に備える保険」の2つに分けて、押さえておきたい保険をまとめてみました。

建築中の建物や設備・備品などの被害に備える保険

建設工事保険

建物の建設工事中に、工事現場での不測かつ突発的な事故により工事対象物(建物や備品)が損害を被った場合に補償を受けられる保険です。損害が発生する直前の状態に戻すのに必要な費用を、損害保険金として受け取れます。

組立保険

建物の内装や外装工事、ビル付帯設備工事(電気・空調・給排水・ガスなど)、機械設備の設置などの組立工事の現場において、不測かつ突発的な事故により工事対象物が被った損害を補償してもらえます。工事の目的物のほかに、材料や工事用仮設備、什器、備品なども補償の対象です。

土木工事保険

トンネル工事や道路工事、上下水道工事、土地造成工事、ダム工事などの土木工事の現場において、不測かつ突発的な事故が原因で生じた工事対象物への損害を保障してもらえる保険です。

人や物への被害に備える保険

労災保険(労働者災害補償保険)

労災保険は、労働者が仕事中や通勤途中で起きた出来事に起因したケガや病気、障害、または死亡した場合に労働者や遺族が保険給付を受け取れる社会保険です。

労働者にはパートやアルバイトも含まれ、1人でも労働者を雇用する場合は会社に労災保険の加入が義務付けられています。保険料は事業者が全額負担することになり、補償の対象になれば療養費の自己負担がなく、休業時の手当も健康保険の傷病手当金より手厚いのが特徴です。

たとえ軽いケガであったとしても、事業主は労災保険の申請を行なわなければいけません。もしも申請をしなかった場合は、労災かくしとみなされて刑事責任を問われる可能性があります。また、現場監督も労災を起こさないような安全配慮義務を怠っていたと判断されると、損害賠償が発生する場合もあるので注意が必要です。

ただし、業務中の私的行為や故意による災害の発生、もしくは業務に関係のない移動や経路からの逸脱による怪我や疾病の場合は、労災として認められず、保険給付金を受け取れません。

現場監督も現場に出る以上は労災と無関係ではないため、現場はもちろん自分自身の安全を管理するためにも、労災保険の認可基準や給付内容の種類、申請方法などをしっかりと押さえておきましょう。

請負業者賠償責任保険

請け負っている工事の作業中に生じた偶然の事故が原因で、第三者の身体や第三者の財物に損害を与えた場合、業者は損害賠償責任を負わなければいけません。請負業者賠償責任保険に加入していれば、損害賠償責任によって被る損害を補償してもらえます。

作業中だけでなく、請け負っている作業を遂行するために使用または管理している施設を原因とする偶然の事故も、請負業者賠償責任保険の補償対象です。

ただし、工事の種類や損壊した財物によっては請負業者賠償責任保険の対象にならないものもあるため、契約前に保証対象の内容をしっかりと確認しておきましょう。

PL保険(生産物賠償責任保険)

工事業者が行なった工事の生産物が原因で、第三者の身体や財物の損害を与えた場合、法律上の賠償責任の負担で被る損害を保険会社が補償してくれる保険です。

1995年に施工されたPL法(製造物責任)により、生産物の欠陥を被害者が証明できれば事業者の過失がなくても賠償責任を追求できるようになったことから、工事業者や製造業者などからのニーズが高い保険となっています。

PL保険の加入により損害賠償金や訴訟費用などを保険金として受け取れますが、生産物自体の損害や回収、修理、交換などの費用については補償の対象外です。

使用者賠償責任保険(EK保険)

従業員が業務上の災害により心身に障害を負った際、会社側に損害賠償を求めてきたときに賠償金などの費用を補償してくれる保険です。政府労災保険からの給付額や会社で独自に定めている規定に基づいて支払われる額よりも損害賠償の金額が上回った場合に、使用者賠償責任保険から超過分の保険金を受け取れます。

損害賠償の金額は年々増加しており、何千万、何億という高額な賠償金を求められる可能性もゼロではありません。そのため、使用者賠償責任保険に加入しておくことで、万が一のときの会社の経済的ダメージや対応の遅れによる信用の損失を防ぐことができます。

保険に加入するときのポイント

保険は万が一のときのリスクに備えるためのものだからこそ、保険料の安さだけで選んでしまうのはおすすめしません。加入後に後悔しないためにも、保険を選ぶ際に注意したいポイントをまとめてみました。

免責事項

保険に加入する際にしっかりと確認しておきたいのが、免責事項です。契約の内容によっては自社の従業員や事物は補償の対象外であったり、別の保険での補償が優先されたり、事故の内容によって補償を受けられなかったりと、せっかく掛け金を支払っていても万が一のときに満足いく補償を受けられない可能性があります。

対人と対物によって補償がどう変わるのか、作業中や作業後の区別など、免責事項をよく読み、疑問や不明点があれば必ず保険会社に確認して納得したうえで加入を検討しましょう。

契約形態

保険は加入者のニーズに合わせて柔軟な契約がしやすく、経済的に余裕がない場合はいくつかの重要な工事にのみ対応できる補償にしぼって契約することも可能です。

逆にほとんどの工事をカバーできて、自然災害や機器の破損・盗難まで補償できる総合型保険もあります。複数の保険に加入していることで保険料がかさんでいたり事務処理に負担がかかっていたりする場合は、総合型保険を検討するのもおすすめです。

保険商品や契約内容によって保険料が変わってくるため、保険会社や代理店に相談しながら適切なプランや見積もりを提案してもらいましょう。

フォロー体制

保険会社や保険商品によって、アフターサービスやフォロー体制の充実度に違いがあります。たとえば被害者との交渉が不安な場合は、被害者との間に入って交渉をサポートしてくれる保険会社や商品を選ぶと良いでしょう。フォロー体制が充実している保険商品であれば、保険料以上のメリットを得られる可能性があります。