「不陸」とは構造物の仕上がり面の状態を指す用語であり、壁や、床、天井などが水平に接合されておらず傾いていることを意味しています。「陸(ろく)でもない」という語源からきており、「まともでない=凸凹している」という意味です。業者の施工ミスや経年劣化により表面が水平でない状態になっており、不陸を直すことを不陸調整といいます。
不陸は建物に構造にズレを生じさせかねません。構造物にずれがあれば品質が低下するだけでなく、倒壊などの危険性も高まります。そのような事態を防ぐためにも、定期的に点検をするのが賢明でしょう。なお、不陸は無垢材の場合ほぼ必然的に生じます。無垢材は空気に含まれている水部を吸ったり吐いたりする特性があるため、どうしても不陸が生じてしまうのです。
不陸調整が必要となるのは、構造物にズレがあり、品質に影響が生じると判断された場合です。ビルやアパートなどは原状回復工事を行った際に不陸調整が必要なことが明らかになるケースが多いです。というのも、原状回復工事では床をはがすため、そのときに土間のコンクリートもはがれて凹凸ができたり、屋上の経年劣化が見つかったりします。屋上の経年劣化は一見関係ないように思いますが、経年劣化が進んでいると凹みができ、そこに水溜まりができてしまいます。そのような防水処理を行うためにも、不正調整が必要となってくるのです。
不陸調整を行う場合は、まず床の不陸部分を確認します。目視で行う場合もあれば機会を使って確認することもあり、機械は「レーザー」と呼ばれるものを使用するのが一般的です。レーザーはレーザー光線を出し、その光が床とどれほどの誤差があるかによって不陸を確認する仕組みになっています。
不陸の有無が確認できたら、実際に調整していきます。床に凹凸があるのか、傾いているのか、どの程度傾いているのかによって不陸の調整の仕方や用いる材料は異なります。例えば、傾きを調整する場合は、まずレーザーでレベルを決定し、それを基準として高い箇所や低い箇所を滑らかにしていきます。レベラーやモルタルなどを流し込んで高さを出したり、ケレンで高い部分を削ったりすさる作業が必要になるでしょう。
一方で、穴や凹凸の不陸を調整するときは、樹脂パテやモルタル、ゴムベラ、スクレーパーコテを使用します。上記の道具を使用して穴を埋め、凸部はケレンで削っていきます。凹凸部分が広範囲にわたっている場合は研磨危機を使用することもあるでしょう。セルフレベリング材を使用する不陸調整方法もあり、流動性の高さが特徴的な調整方法です。
表面の凹凸を滑らかにしたら、最後に仕上げを施します。不陸調整直後の床はむき出しの状態なので、塗装処理を施さなくてはなりません。床を塗装すると耐摩耗性や防塵性、防水性を高めることが可能です。塗装面積や塗装の厚みを考慮しながら塗料の種類を選ぶのがポイントです。