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現場監督が注意すべき高所作業のポイント

高所作業のリスク管理と指導

現場監督は、高所作業の安全管理と指導を徹底しなければなりません。高所作業は事故につながりやすい環境で、作業中はずっと生命の危険にさらされるからです。作業者の生命を守るためにも、適切な作業方法と安全管理を把握しておきましょう。

高所とは2メートル以上なら高所作業

高所作業は2メートル以上で行う作業のことで、労働安全衛生法でも定められています。2メートル以上なら、安全措置が必要です。2メートルを低いと感じる方もいるかもしれません。しかし、2メートルでも、落下すれば骨折、下がアスファルトやコンクリートなら、頭を打てば生命に関わる重大事故につながるため油断禁物です。

建設や土木、電気工事まで、足場や脚立を使って作業を行う場面は多々あります。現場監督は事故が起きないよう、現場環境を整えて、作業員への安全管理と指導を徹底しなければなりません。たとえ2メートル以下でも事故は起きますし、管理者責任を問われます。

高所作業では、現場監督は作業員を守る立場として細かい部分までチェックし、安全を意識した施工管理が求められるのです。

現場で想定される高所作業

現場もさまざまですが、高所作業が求められる場面があります。現場監督として、特に注意したい高所作業が求められる現場や場面をご紹介します。

足場が必要な場面

建設作業では、足場を使う場面が多いです。外壁工事をする際、一戸建てでも2階建てや3階建てがあります。大型の施設やビルでも足場が必要ですし、時にはゴンドラで作業をする場面もあるでしょう。足場も複数種類あるため、安全に配慮した足場の選定が必要です。

建物内でも、高所作業はあります。内装工事では天井や周囲の施工もあるため、脚立が必要です。脚立は一般的ですし、しっかりとしていますが、破損している、無理な体勢で行えばバランスを崩して倒れるリスクがあります。この点は、外壁工事の足場でも同じです。

脚立や足場で作業をする際に、道具そのものにリスクがないかもチェックしましょう。無理な体勢で行う作業員には指導が必要です。

天井内部での作業

天井内部も高所作業です。天井内部には、空調や給排水管や電気関連の設備を設置します。天井も含めたリフォームなら、内部に入って状態の確認も必要です。天井内部の施工は、天井という高所で作業をしなければなりません。天井へ入るためにも、脚立を使って上がります。

天井自体、強度が低いことも多いです。軽量材の天井は、チャンネルやネジとハンガーとクリップで支えているだけの場合もあります。古い建物なら、足を少しかけただけで抜けるリスクもあるでしょう。作業道具も、重量があるなら置いただけで天井が破れて落下の可能性もあります。下にいる作業員の頭上に落ちれば事故です。やむおえず天井での作業が必要なら慎重な作業が求められます。

高層建築物の窓清掃

高層ビルの窓や巨大建築物の清掃も危険を伴います。オフィスビルやタワーマンションでも、専門業者がゴンドラやブランコを使って清掃を行いますが、ちょっとしたミスや勘違いが事故につながるため注意が必要です。

屋外設備や建物の保守点検

風力発電の風車や電波塔の保守点検も、危険な高所作業です。建設足場やゴンドラや命綱、高所作業車など、問題がないか安全管理が必要です。数人で作業を行う場合、ひとりのミスが他作業員を危険にさらすことになります。現場監督には特に慎重さが求められるでしょう。

高所作業で起きやすい事故

高所作業で起きる可能性が高い事故例をご紹介します。一般的にある具体例で、どのようになれば事故につながるのかの把握は重要です。

脚立からの転落事故

脚立による事故で多いのは、バランスを崩す以外に、不安定な地面に置いて無理な体勢での作業、脚立間の移動があります。特に脚立間の移動は危険なため、厳しい指導が必要です。場合によっては、現場での入場を制限することも考えたほうがいいでしょう。新人でもベテランでも関係なく危険を伴う行為です。

道具や資材が落下する

高所から道具や資材が落下するのも危険です。小さいスパナだとしても、下にいる人の頭に落下すれば致命傷になります。通行人の場合、ヘルメットをしていないため、特に危険です。作業床には置かない、専用の腰袋に入れる、工具をワイヤーで結ぶなどの落下防止措置と指導を徹底しましょう。

移動式足場や高所作業車を適切に操作していない

移動式足場や、高所作業車の操作を誤ると事故につながります。移動式足場のストッパーをかけて固定せず作業すれば、事故に直結するのです。高所作業車の操作をミスすれば、屋外設備へぶつかる場合もあります。電線を切れば停電につながるのです。高所作業車の操作は免許が必要なため、作業前には免許の有無を確認してください。

フォークリフトによる事故

フォークリフトの誤った使い方が事故につながります。よくあるのが、フォークリフトのフォーク部分にパレットを乗せ、その上に人が上がり高所作業をするケースです。パレットのバランスが崩れれば乗っていた人もろとも落下します。下にいる作業員にも危険が及ぶでしょう。

高所事故を起こさないための対策

高所事故を起こさないためには、安全指導の徹底は必要ですが、対策もしなければなりません。労働安全衛生法で決められた内容を基準として、現場監督は適切な対策をしてください。どんな対策があるのかご紹介します。

作業床を設置する

2メートル以上の高所作業では、作業床を設置します。建築現場では、足場が作業床です。作業床の端や開口部は、囲いや手すりや覆いなどが必要なため、適切に設置されているかチェックします。

安全帯は必須

高所作業では、必ず安全帯をするよう指導が必要です。作業床を設置できる場所ばかりではありません。作業員の安全を確保するためには、安全帯が必須です。安全帯を使用するだけでも、落下事故のリスクが下がります。クレーンに搭乗装置を設置して作業員を乗せる場合も、安全帯は必須であり、ルールで決められているのです。

ロープの安全を確かめる

ビルを対象とした作業では、作業床の代わりに、ロープを使用する場合もあります。ロープを使用する場合も細かくルールが決められているのです。メインロープ以外に、安全帯を装着するライフラインやリトラクタ型の墜落を阻止する器具を使って対策をします。

ロープ自体の強度も確かめなければなりません。損傷や摩耗がある、変形や腐食で傷んでいるロープでの高所作業は命取りです。問題があるなら交換してください。

メインロープやライフラインを結ぶ箇所は頑丈で動かないか、ロープの長さは十分か、切断のリスクがある箇所はないか、あるなら覆いをする、適合する接続器具かチェックしましょう。

ロープでの高所作業は調査と記録も重要

ロープでの作業は高所作業の中でも、特に危険を伴います。現場監督は事故のリスクがないか、環境面での安全も確保しなければなりません。そのために、調査や記録が重要です。

作業箇所や下に問題はないか、ロープを結ぶ支持物の位置、状態、周囲の状況もチェックして記録します。作業箇所と支持物に通じている通路の状況や、切断のリスクがある箇所や位置や状態もチェックしましょう。

高所作業を管理する上で役立つ講習

高所作業を行うこと自体、特別な資格はありません。ただし、特別教育の受講は必要です。高所作業の知識や労働災害防止に関わる知識を学べるため、管理業務で助けになります。現場監督も、スキルアップと適切な指導のために受講したほうがいいでしょう。

フルハーネス特別教育

落下を防止する器具を適切に取り扱うための講習です。建設業関連の一般社団法人や財団法人が主催しています。

ロープ高所作業特別教育

足場床が使えない高所では、ロープを使って作業を行います。命を守るためのロープの適切な使い方を学べる講習です。多くの団体で講習しているため、ロープを使用する作業では義務付けられています。学科以外に実技講習もあるのが特徴です。

高所作業車運転特別教育と技能講習

作業床の高さ10メートル未満の高所作業車の運転業務では必須の特別教育です。作業床の高さ10メートル以上の高所作業車では、技能講習を修了しなければなりません。修了すれば、高所作業車ならすべて操作できます。現場監督自身は作業しなくても、確認するためには必要なので講習を受けたほうがいいでしょう。

まとめ

高所作業での事故は、現場監督の管理責任問題に発展しかねません。新人もベテランも関係なく、適切な作業をしなければ起きる可能性があるトラブルです。安全管理を徹底し、適切な指示をするためにも、高所作業の注意点を把握しておいたほうがいいでしょう。