建設工事を行う中で、現場監督はどんな仕事を任されているのか、資格は必要なのかを詳しく説明しています。
「建築」は、土木工事などを始めとした「建設」の一種です。
その中でも「建築工事」は、住宅や商業施設、ビルなどの建築物を建てるための工事を指し、「建築基準法」によって基準が設けられています。
新築ばかりではなく、改修や修繕、リノベーションなど、建築物に関わる工事も全て「建築工事」です。
建築工事と一口に言っても、さまざまな建築物があります。主にどのような建築物があるのか分類し、特徴などをまとめてみました。
住居は、一般的に一戸建てやデザイナーズハウスなど、人が暮らす家屋のことで、アパートやマンションといった共同住宅も住居に含まれます。
住宅建築では大工や職人のスケジュール調整や材料の仕入れ、進捗のチェックなどが現場監督の仕事になります。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの店舗を建てるのは商業施設の建築工事です。小売店舗だけでなく、案件によってはショッピングモールなどの大規模な商業施設を建築することもあります。
公共施設は、病院・学校・保育園・美術館・図書館などが含まれ、公共工事とも呼ばれています。公共のものですので国や自治体などからの依頼となり、年度末に工期が集中するケースが見られます。
住宅・商業施設・公共施設などに分類されない建築工事も多数存在します。例えば劇場・公衆浴場・旅館・倉庫・展示場・火葬場などなどです。
高層ビルや、スカイツリーや東京タワーといった建物も建築工事によって造られています。
建築現場における現場監督を目指す場合には、工事がどのような流れで進められていくのかを把握しておくと良いでしょう。ここでは、建築工事の大まかな流れについて紹介します。
工事の前には現地調査を行います。この段階では、対象となる敷地の測量や敷地境界の確認、また隣接する道路といった周辺環境などについて確認します。
建て替えを行う場合など、敷地内の建物の撤去が必要な場合には解体工事を行います。解体工事を行う場合には、対応している工務店に依頼するといったケース、解体業者に別途お客さまから依頼するケースなどさまざまなパターンがあります。
建築工事を行う場合には、土地の地盤の強度を確認することも大切です。更地に建築を行う場合には設計前に地盤調査を行えますが、解体が必要な場合には解体工事を行ってから地盤調査を実施します。住宅を建築する場合には、「スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)」という方法を用いることが一般的とされています。
工事を行う前に、地鎮祭を行います。地鎮祭とはその土地に初めて建物を建てる際に土地を清める意味で行われますが、今回の工事が安全に行えるように、また新しい建物を建てた後の繁栄を願うといった意味も持っています。地鎮祭の進め方については地域などによって異なりますので、進め方や用意するものについてはあらかじめ確認しておきましょう。
必要に応じて、建物を建てる前に地盤の改良工事を行います。この工事を行うことによって建物を建てた際に傾いたり沈下してしまったりするのを防ぎます。地盤改良工事には、表層改良工法、柱状改良工法、小口径鋼管杭工法といった方法があります。
建築工事に着工した後には、さまざまな工事が行われます。例えは住宅の建築行為時の場合には、根伐り・遣り方工事や配筋工事、コンクリート打設工事、先行配管工事、土台工事、防蟻工事、屋根工事、電気配線工事、サッシ・玄関ドア取付工事、断熱工事、外壁工事、外構工事などを実施します。
また、施工途中には第三者による中間検査(金物検査)が行われます。
作業が完了し、施主検査、完了検査が済むと竣工となります。例えば壁や床に汚れがないか、建具の建て付けなどを確認し、補修が必要な部分が見つかった場合にはその部分の作業を行います。補修が完了したら引っ越しとなります。
建物の引き渡しを行ったらそこですべて完了ではなく、その後もそれぞれの規定に従ってアフターメンテナンスを行っていくことになります。
建築工事における現場監督は、現場代理人と呼ばれることもあります。
現場監督の主な仕事は4つあります。
現場監督の仕事の1つがまず施工計画を立てることです。
建築工事が設計図に沿って予算内に、かつ安全に執り行われるよう計画を立てます。工事の業者選びや、現場と周辺の調査、設計者との打ち合わせなどもします。
工事が予定通りに進んでいるか、工程の管理を行うのも現場監督の仕事です。また、工事に関わる職人や作業員のスケジュールを組むのも同じく業務に含まれています。
そのため現場監督は工事の開始から終了までの工程と内容を把握しておく必要があります。大規模な工事になると工程が複雑になり、職人や作業員の人数も増加するため、建築に対するしっかりとした知識が求められます。
現場監督の業務の中でも安全管理はとても重要です。重機や高所での作業を伴う建築工事は、時として命のリスクさえある危険な現場でもあります。安全に工事を行えるよう、職員や作業員に対する指導や教育、健康の管理、パトロールといった細部にわたるチェックは入念にしたいところです。
現場監督の品質管理とは、建設において、設計図で指示された通りの内容で工事を行うことです。
建築工事では予算が限られています。その予算内に合わせて建材を仕入れ、建築物の性能もクリアさせなければなりません。
工事の依頼主の目的は、設計図に沿った建築物の完成です。
そこで、現場監督は、職人や作業員にもっとわかりやすく指示を理解するために、設計図よりも細かな図面を用意することもあります。
建築現場の現場監督になるためには、「建築施工管理技士」の資格が必要となります。
建築施工管理技士の資格には1級と2級があり、仕事内容については大きく異なっていません。
しかし、管理することのできる現場の規模には違いがあります。
1級建築施工管理技士は、管理可能な工事の規模に上限が設けられておらず、高層マンション・ショッピングモール・公共施設などの大きな建築工事の現場監督として務めることができます。
こうしたことから、1級建築施工管理技士の資格取得には比較的厳しい条件が設けられています。まず指導監督としての実務が1年以上あること、さらには大学の指定学科を卒業して3年以上の実務経験があることなどです。
2級は小規模・中規模までの建設工事を管理することができますが、種類は建築・躯体・仕上げの3つとなっており、試験も1つずつあります。つまり、2級建築施工管理技士の現場監督は、3種類の資格試験に全部合格しないと、全ての現場監督にはなれないのです。
建築の現場監督は大きな責任が伴うために、それだけ資格取得も難しいかもしれません。しかし、だからこそ、建築施工管理技士に合格した際は他者にはできない仕事を多数経験できることとなるでしょう。