そもそも土木工事とはどのようなものなのか。現場監督とは具体的にどんな役割の仕事をするのか説明します。
土木工事は建設工事の一種で、簡単に言えばビルや住宅などの建物を除いた部分を工事することを指します。
具体的には、道路・橋・鉄道などで、土石や木材を使った工事を行うことからこう呼ばれるようになりました。
場合によっては下水道の工事を土木工事と呼ぶほか、施工の設計や測量も土木の仕事に含まれます。
また、大規模なものになると空港やダムといった人々の生活に欠かすことのできない施設を施工することも土木工事と呼ばれます。
建物の基礎を造る際も、土木工事では災害が起こった際に建物に被害が出ないようにすることから、人々の生活を支える責任ある仕事と言えます。
土木工事には、建物の基盤を造る「基礎工事」と、建物を建てられるように土地を加工する「造成工事」と、そして建物以外の造園や排水・塗装などを行う「外構工事」があります。
そのほか、土木工事に含まれる工事を紹介します。
河川・海岸工事は、大雨による河川の増水・氾濫や、津波や台風の影響による高波など、水害を防ぐ目的で行われています。
工事では河川を掘削し、堤防を設置したり強化するといった作業が実施されます。
海岸工事は、海岸だけでなく水底の土砂を取り除く作業が行われることもあります。
橋梁工事の「橋梁」は土木工学の専門用語。一般的には「橋」と呼ばれ、つまりは橋の工事を指します。
橋と一口に言ってもさまざまで、小さな川を渡るためのものや、本州と四国を結ぶ「本州四国連絡橋」のように海を越える大規模なものまでさまざまです。
ダム工事と言うと貯水池ダム工事がすぐに思い浮かぶかもしれませんが、ほかにも砂防ダムといった土石流を防ぐダムの工事も含まれます。
貯水池ダム工事は利水・治水のための人工湖を造るなど、土木工事の中でも規模の大きい工事です。
ダムのためにまず工事用の道路から造り始めるなど、長い年月を費やします。
トンネル工事は、トンネルの工法(工事方法)によって複数の種類に分かれています。
シールドマシンという機械で掘削していくシールド工事、掘削を行いながら、トンネルの管をジャッキで地中に押し込む推進工事などです。
空港建設工事では、新施設の建築に伴う古い施設の解体や、用地の造成工事などを行い、舗装工事を実施します。
もしも空港が海上に建設されるのであれば、土地の埋立や護岸築造工事も必要となり、陸上とはまた違った工事が行われます。
特に海上工事については、土木技術に加えて海上に関する高度な技術と知識が必要されます。
砂防工事は、土石流を始めとする土砂災害を防ぐ目的で行われる工事で、河川の氾濫なども含まれることがあります。
また、土石流や森林火災が起こると土地が荒れてしまうことから、植樹や緑化を行うことで斜面などの土地を安定させ、公園として活用するなど自然環境を保護するのも業務のひとつです。
道路工事の現場は、作業中のところを見かける機会も多いのではないでしょうか。
まず土をならして路床に砕石を乗せ、平らにしたらローラー重機で踏み固めます。最後に熱したアスファルトと高密度アスファルトを重ねることで、一般的な車道が完成します。
土木工事の現場で働きたい場合には、あらかじめ工事がどのような流れで進められていくのかを知っておきましょう。ここでは、土木工事の大まかな流れについてまとめました。
土木工事を行う場合には、まず現地の調査から始めることになります。この調査によって、工事を予定している場所はどのようなところなのかを把握し、作業見積もりを立てていきます。実際の調査では、工事対象となる場所の道路の状況やライフライン、法令といったようにさまざまな方面からの調査を行っていくことが必要です。
その後、調査で得られた内容を踏まえて工事に必要な予算を算出します。
工事のための現地調査が完了したら、調査結果をもとにして工事プランを立てます。この段階では、調査結果に加えてお客さまが持っている要望を含めた形でプランを検討します。
工事プランとともに概算の予算案を含めた形で、お客さまと十分に打ち合わせを行いながら基本計画案の作成を行います。お客さまが作成した基本計画案に納得した上で契約を締結します。
基本計画ができた後はさらに細かい実施計画・設計を行います。そのために現地測量、現地詳細調査、類似施工例視察、資料採取、法令調査などを行っていきます。
各種調査の結果をもとに基本計画案について検討し、工事経費積算を含めて実施計画を作成します。さらに、平面図や断面図などによりここまで検討してきた計画の図面化を行い、実施計画図の作成も行います。
お客さまの承認を得た上で実施計画や積算、材料検査や材料の発注を行うなど、本格的な工事の準備に入っていくことになります。
工事に着手する前には、現場の近隣の方々に工事の案内をします。ご挨拶に伺ったり工事をお知らせする文書をポストに入れるなどして、工事について了承を得られるように対応していくことが必要です。
工事が始まったら、品質管理や安全管理に十分に配慮するとともに、砂塵が飛散しないよう、土砂や汚濁水が流出しないようにするなど、周囲の環境に気を配りながら進めていきます。
工事が完了したら、社内検査・行政の確認検査を行い、問題ない場合にはお客さまが完了確認を行います。こちらも問題がなければ引き渡しが行われ、工事が完了となります。
また、工事が完了したらそこで終わりではなく、不都合な点や気になる点などがある場合にはアフターケアを行います。お客さまから問い合わせがあった場合には、どのような点で対応を希望しているのかを把握し、迅速な対応が必要です。
土木現場に現場監督が必要なことは多くの方が知っていても、実際にどんな仕事を行っているのか把握している方は少ないのではないでしょうか。
建設業における現場監督の仕事は、まず安全を管理することが特に大きな業務となっています。
重機や溶接を扱う土木工事では、一歩間違うとケガを負ってしまうリスクをはらんでいます。
常に安全かどうかを見守る現場監督の存在は欠かせません。
また、工事の目印となる杭も、現場監督が測量を行いながら打っていくことがあります。
工期内に工事を終わらせることができるよう、管理するのも現場監督の仕事です。
そのため現場監督には、全体の状況を把握し判断する能力と、専門的な知識と体力が求められます。
土木工事の現場監督になるためには、「土木施工管理技士資格」を取得しなければなりません。この土木施工管理技士とは国家資格で、施工管理技士の一種に数えられています。
土木施工管理技士の資格には1級と2級があり、現場監督を務めることのできる工事の種類には違いがあります。2級よりも1級のほうが現場監督として業務につける工事は多くなります。
また、1級を持っていると「特定建設業専任技術者」か、「監理技術者」として務めることができ、2級の場合には「一般建設業専任技術者」か、「主任技術者」として現場を監督することになります。