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現場監督には引き抜きがあるの?

現場監督の引き抜きはよくある話です。特に派遣会社や中小企業から現場監督(施工管理技士)として勤務している場合は、引き抜きは珍しいことではありません。こちらでは、なぜ建設業界で引き抜きが多いのか、その状況や引き抜きされやすい条件、気をつけたいポイントなどを紹介していきます。

建設業界は人手不足

 

建設業界は、慢性的な人手不足の問題を抱えており、工事現場の責任を担う現場監督(施工管理技士)などの技士の数が特に少ない状況があります。

国土交通省の発表によると、2025年の建設業界における技能労働者数は、2015年と比べて44万人も減少する(※1)という見込みとなり、全体的に就職難といわれる時期であっても建設業界は売り手市場。厚生労働省の発表した2021年度のハローワークの求人・求職・就職の状況のとりまとめ(※2)では、建設業の有効求人倍率は、1人の求職者に対して5件以上の求人がある状態で、なかなか人が集まらない現状がうかがえます。

(※1)参照元:(pdf)国土交通省公式https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf

(※2)参照元:(pdf)国土交通省公式https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00052.html

現場監督の引き抜きが起こる理由

このような人手不足の問題があるなかで、現場監督や施工管理技士といった現場の管理を担う人材は特に不足しており、しばしば引き抜きが起こります。

派遣会社から現場監督を招いている場合などは、その人物の能力や知識スキルを直に知ることができます。実力の高い人を引き抜けば、すぐに率先力となって利益をもたらしてくれるでしょう。そのため、能力の分からない人を採用するより、よっぽど安心できるという理由が挙げられます。

また、派遣社員側にとっても、慣れ親しんだ現場やある程度交流のできた企業で働き続けられるというメリットもあるため、引き抜きはしばしば起こるのです。

引き抜かれやすい現場監督の特徴

 

現場監督の派遣で引き抜かれやすい人材として下記のような条件が挙げられます。

  • 派遣現場での仕事ぶりやコミュニケーション能力が優秀である
  • 1級建築士や1級施工管理技士といった上位資格を取得している

現場の遂行状態は現場監督の力量によって左右されため、業務状況や高いスキルが重視されます。また、指定建設業で監理技術者になるためには、国家資格の上位資格が必要ですが、この資格保持者はまだまだ少ないため、引き抜きされやすい大きな理由となります。

スーパーゼネコンなどの大手建設会社では、かつては学歴も重視されていたため、学歴が伴わない人は引き抜きされにくい状況でした。しかし、人手不足の問題を抱えている現在は、高学歴でなくても経験やスキル、資格があれば大手で働ける可能性が大いにあります。

引き抜きの誘いを受けたときに考えるべきこと

引き抜きからの転職の場合、すでに現場での信頼関係ができていたり、その会社の社風や雰囲気を把握できているなどのメリットがある一方で、これから紹介するようなデメリットが生じることがあります。引き抜きの話があったときは、一旦冷静になって判断してください。

当初の話と違うことがある

 

引き抜きの場合、声をかけてくれた人を通して口頭で話が進んでしまうことがあります。転職してから「話が違う!」というトラブルにならないよう、条件は書面等でしっかり確認しましょう。

誘ってくれた人と一緒に仕事ができるとは限らない

 

今まで働いたことのあるコネクション関係で引き抜かれた場合、その親しい人を信頼して転職したのにその人と一緒に働けない可能性もあります。想定外の場所に配属されるケースもあり、「転職した意味があるのか」と後悔するかもしれません。

転職を決める前に、入社後の配属動向を確認しておく必要があります。

前の会社との関係性悪化に注意 

ひとつの現場には多くの会社や人材が関わります。転職後に受け持った工事現場に前会社からの人材が派遣された場合、お互い気まずい思いをする可能性も生じます。退職する際は、誠意をもって対応しておきましょう。

転職してすぐは給料が下がることも 

給料面が上がると思って転職したのに、転職してすぐの給料が今までより下回るケースもあるようです。その理由として下記のような原因が考えられます。

  • 「試用期間」待遇で数カ月給料が低くなるケース
  • 賞与を含んだ年収はアップするが、月収は少し低くなる
  • 残業代を含んだ計算で打診された

などのパターンが考えられます。

給与は転職を決定づける大切な要素である人も多いと思います。生活に支障をきたす場合もあるため、基本給や各種手当、賞与などの詳細を確認してください。

まとめ

引き抜きの誘いは、ひとりの現場監督として「そのスキルと実力を認められた証拠」であり、大変喜ばしいことですし、やりがいにもつながるはずです。引き抜きにはメリットだけでなく、気をつけたいポイントもあるため、現状と比較したうえで慎重に決断することが大切です。