日本の建設技術は海外でも評価が高く、インフラや建築物などの大規模プロジェクトの受注が多く入っています。日本の技術を現場で統括するには、国内で現場経験を積んだ日本人建設技師の力が必要なため、多くの日本人が海外で活躍しています。
こちらでは、海外での建設需要の現状や海外勤務の可能性の高い企業情報などを紹介していきます。
2013年以降、日本政府は日本の建設技術を海外へ売り込むための「インフラシステム輸出戦略」を進めています。
インフラシステム輸出戦略とは、高い技術を誇る日本の建設やインフラ技術を海外に売り込み、国内市場の縮小を補う政策のことです。政府(国土交通省が中心)が民間企業と協力して、事業化を実施しています。
この政策は主に新興国に対して行われており、鉄道・港湾・空港・道路・下水道などのインフラ施設の調査から設計・建設・維持管理までの大型受注を想定しています。
2020年には約30兆円(※)のインフラシステム受注を実現。2025年には34兆円を目指しています。日本の優秀な建設技術は評価が高く、さまざまな国で日本人の建設技師も活躍しています。
※参照元:国土交通省「インフラシステム海外展開の推進 令和4年6月2日」(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/hyouka/content/001441487.pdf)
現場監督として海外での勤務を目指すのであれば、入社や転職する前段階から企業リサーチを入念に行う必要があるでしょう。こちらでは、現場監督として海外で働くチャンスの高い企業について紹介します。
海外赴任のチャンスが高いのがスーパーゼネコンです。ゼネコンの中でも売上高の高いスーパーゼネコンは、国内の道路や橋脚、地下鉄といった大規模インフラ工事を担っており、海外にもその高い技術が認められています。
就職四季報プラスワン「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング(※)」によると、建設業界の中では清水建設・鹿島建設・大林組・竹中工務店・大成建設という業界トップ5のスーパーゼネコンが海外勤務者数の上位にランクイン。この結果からも、スーパーゼネコン入社が海外赴任の近道だとわかります。
スーパーゼネコンの中には、若手社員を積極的に海外赴任させる方針の企業もあるため、海外赴任をできるだけ早く経験したい人にはおすすめです。
※参照元:東洋経済「海外勤務者が多い会社トップ200ランキング(就職四季報プラスワン):https://toyokeizai.net/articles/-/206216
スーパーゼネコンだけに海外赴任のチャンスがある、というわけではありません。中堅レベルの建設会社であっても、海外事業に着目して展開している企業はあります。企業規模に対し、海外勤務社員の割合がどれほどなのかを調査することが大切です。
例えば準大手のゼネコンである「五洋建設」の場合、全社員数に対する海外勤務者の割合が高く、2020年3月決算では海外工事の売上が圧倒的に高くなっています。
ODAとは「Official Development Assistance=政府開発援助」のことで、開発途上地域への経済協力対策のひとつです。経済や社会の成長を目的とした資金や技術提供を指し、建設業界であれば、アジアやアフリカ、中東などで空港・橋・道路・発電所といったインフラシステムや建築物の整備を行っています。
ODAは中小企業も参加しているため、海外で現場監督をしたいのであれば、ODAに参加している企業を選ぶのも一つの手段です。
慣れない海外での仕事では、悩みが生じることも少なくありません。作業員は現場を束ねる一握りの日本人以外、現地の国をはじめとする数カ国から来た人で構成されます。それらの作業員を指導して日本の技術を提供する立場とはいえ、日本のやり方をそのまま現地で行うと軋轢が生じる可能性があるでしょう。また、日本と現地での規則・規格などの違いによるトラブルやハプニングもたびたび起こるようです。
共通の言葉は英語が中心となること、そして文化や宗教、人種の気質などが異なることを理解しながら技術・知識を指導し、工事を遂行しなくてはなりません。
日本の建設技術は海外において需要が高いため、現場監督は現場の技術技師として海外で働ける機会があります。海外赴任の多いゼネコンやODAに参加している企業に入社し、希望すれば赴任できる可能性は高いでしょう。
そのためには国内で経験を積みながら、コミュニケーションスキル・英語力を身に付ける必要があると考えられます。