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現場監督としてホワイトな環境で働くには

現場監督の仕事でホワイトな職場環境は目指せる

現場監督という仕事を目指すうえで、建設業界がホワイトなのかブラックなのかは気になるところでしょう。「残業は当たり前」「職人さんから怒られて心が折れる」など、現場監督に関するネガティブな情報が目に入り、不安を感じるかもしれません。

ここでは仕事内容や現場での事例を元に、職場環境の実態について解説します。

現場監督がブラックだと思われている理由

他業種と比べて実労働時間・出勤日数が多い建設業界。現場監督の仕事は、工程管理・安全管理・原価管理・品質管理と幅広く、責任のあるものばかりです。当日の現場作業が終わっても、翌日の準備のために夜遅くまで残業が続くことが多いかもしれません。職人さんを束ねる立場にありながら、逆に怒鳴られることもあるでしょう。

ブラックな職場環境を生み出す原因として、「やりがい」や「成長」が見いだせないほどに、仕事に忙殺された状態に陥っている可能性があります。

せっかく目標を持って飛び込んだ世界でも、仕事をこなすだけの日々では仕事のやりがいは見えなくなってしまうでしょう。気持ちに余裕を持って働くためには、職場環境の見極めが大切です。

現場監督は残業が多い?

働き方改革によって変化する職場環境

政府が進める働き方改革により、業界全般で労働環境の改善が行われています。

建設業界は、慢性的な人手不足の問題を抱える状況です。休日が少なく、労働時間が長い業種と言うイメージのままでは、若い人材は入ってきません。国の基幹産業の一つでもある建設業では、労働環境の改善が進められており、違反した会社には罰則が科されます。

一昔前のように「長時間働くほど頑張っている」という価値観も変わってきています。より効率的に、生産性の向上を目指した取り組みが業界全体で行われているのです。

他業種と同様に、建設業界でも男性の育児休暇を認める会社が増え始めました。フレックスタイム制の導入もあります。さまざまな新しい試みが徐々に当たり前になっていけば、今はまだ懐疑的な会社も、自然と順応を求められるようになるでしょう。

地方の企業や派遣会社はホワイトな環境が多い

建設ブームの今、都市部の会社は現場監督の人材不足に悩まされています。人口が少なくなる地方は、さらに足りない状況です。現場監督を雇用したくても、より良い条件でなければ人材を確保できません。都市部を上回る賃金の提示が難しい地方の会社では、ホワイトな労働環境作りに努めて、人材確保を行っています。

正社員にこだわらなければ、派遣社員という選択肢もあるでしょう。建設会社ではなく派遣会社との労働契約なので、ブラックな働き方の強要、あるいは契約と違うことが起こった場合は、派遣会社へ訴えられます。法律違反と認められると処罰の対象です。第三者からの物理的な抑止効果があるので、ブラックな労働環境になりにくいのがメリット。ホワイトな環境で働きたい方は、派遣社員を選択肢に入れて検討するのもおすすめです。

まずチェック!ホワイトな職場環境のチェック項目

残業時間

残業時間は、ホワイトな職場環境かどうかを判断するうえで非常に重要なポイントになります。残業時間が少なければ、家族との時間や自分の時間を確保しやすいため、仕事とプライベートのバランスがうまく取れるようになります。

ただし、一見残業時間が少なく見える会社でも、実はサービス残業が横行しているということもあります。よって、単純に残業時間の短さだけでは判断が難しいとも言えるでしょう。残業時間だけで判断するのではなく、残業代が適切に払われているかどうかも込みでチェックするようにしましょう。

休日日数

休日もしっかりと取ってプライベートも充実させたいと考えている場合には、休日日数についてもチェックしておきましょう。基本的に、求人情報には休日に関する情報も記載されています。休日についてチェックする際は、「土日休み」「完全週休二日制」といった内容が記載されている会社を選ぶようにするといいでしょう。

また、休日日数の多さではなく、1日あたりの労働時間を短くする方法を採用している企業もあります。休日の日数だけに注目せず、労働時間に注目してみるのもひとつの選択肢です。

給与

働くうえで、給与は特に大切な要素です。国税庁が発表したデータによると、「1年を通じて勤務した給与所得者」における1人あたりの平均給与(平成2年)は433万円であり、業種別に見た場合の建設業全体の平均給与は509万円となっています。このようなデータをもとに、年収アップを目指して転職を検討してみるのも良いでしょう。

参照元:[PDF]国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査結果について(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/001.pdf)

人間関係

気持ちよく仕事ができるかどうかは、職場の人間関係が非常に大きく関わってきます。そのため、求人情報に掲載されている社員に関する人物像や先輩のインタビューなどもぜひ参考にしましょう。

また、若手や未経験者に対するフォロー体制も確認しておきたい部分です。メンター制度を導入していたり、仕事以外の内容も相談できる体制を整えている会社などは、困ったことがあったときも安心して相談しやすい環境だと言えます。社員のサポート・ケア体制にも着目してチェックしてみると良いでしょう。

ホワイトな会社の特徴

働き方改革に取り組んでいる

会社全体で働き方改革に取り組んでいるかどうかといった点にも注目してみましょう。建設業界に対して、長時間労働や休日出勤といったイメージを持っている方も多いかもしれませんが、近年は建設業界でも働き方改革を進めるといった動きも見られます。

例えば、週休2日制の導入、社会保険の完備、無理のない工期設定をしているといった点などが挙げられますが、このような取り組みを行っている企業は比較的ホワイトな働き方を推進している企業である可能性が高いでしょう。

年間休日日数が多い・サービス残業がない

年間の休日日数が多いか、サービス残業が行われていないかという点もチェックしておきたいポイントです。年間休日日数が120日以上であれば週休2日制を採用しており、祝日も休みとしている会社である可能性が高いです。

逆に、働き方改革を進めていない企業では年間休日日数が100日を切るというようなこともあるようですので、勤務体制については事前にしっかりと確認しておきましょう。

有給消化率が高い

職場を選ぶ際は、「有休消化率」もチェックしておきたい部分です。有休消化率が高い企業は、ゆとりのある工期を設定している、休みが取りやすいといった環境が整えられている企業と判断できるためです。

経営事項審査の「その他審査項目(W)」が高い

「経営事項審査」とは、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です。この経営事項における総合評定値での評点のひとつとなっている「その他の審査項目(社会性)(W)」も、ホワイト企業かどうかを判断する際の参考になります。

これは、「その他の審査項目(社会性)(W)」の評点には、保険加入や健康保険、厚生年金保険、建設業退職金共済制度加入の有無や、退職一時金や企業年金制度が導入されているかどうかが関わってくるためです。この部分の評点が高ければ、ホワイト企業である可能性が高いと考えられます。

工期に余裕がある

現場の工期に余裕があると、業務量は適切にコントロールされており、有給も比較的取りやすいです。逆に工期に余裕がないと、長時間労働や休日出勤といった状況になる可能性もあります。現場監督は工事の進行管理も重要な役割の一つであるため、余裕のある工期設定で工事を受注しているかどうかは仕事の負担に大きく関わってきます。

ホワイトな環境で働くコツ

元請け会社で働く

ひとつめのコツとして挙げられるのが、「元請けの建設会社で働く」ということです。働き方改革は政府主導で取り組まれていますが、社会的責任の大きな企業ほど時代の流れには迅速に付いていく必要があります。実際に、建設業界の大手企業では、既に働き方改革に積極的に取り組んでいる企業が多いです。

このように、元請け会社は働き方改革への取り組みが早い傾向があるため、より良い環境で働ける可能性が高いと言えるでしょう。

自社で「職人」を抱えていない会社で働く

自社で職人を抱えずに外注している建設会社であれば、施工管理の仕事にのみ集中できる可能性が高くなります。逆に、自社で施工管理技士と職人の両方を抱えている会社の場合、経営者自身も職人から施工管理を経て起業しているケースが多いため、職人に合わせた働き方が求められる場合もあります。

基本的に、施工管理技士は現場作業は行わないものの、状況によっては現場作業を求められるケースも…。そうなると、現場監督の仕事との両立で非常に忙しくなってしまうこともあるでしょう。

よって、自社で職人を抱えていない会社の方が、現場監督としての仕事はしやすいと言えます。そもそも、現場監督が自らの手を動かして現場作業を行うことはNGになるため、そのような企業は予め避けておくようにしましょう。

IT化が進んでいる会社で働く

建設業界でもIT化の動きが進み、業務効率化が促進されつつあります。ITツールの導入は、現場作業の効率化だけでなく、作業の省人化といったメリットもあります。また、防水のタブレット端末などが導入されていれば、雨天時の施工管理業務で感じるストレスも軽減できるでしょう。

時代の流れに乗っかり、アップデートされた働き方を提供できているかどうかを見極めることは、その企業の将来性も併せて推し量れるポイントであると言えます。

パソコンに強い上司の元で働きやすい環境を手に入れる

建設業界は他業種と比べて、働き手の平均年齢が高いと言われています。傾向として、現場の統率力が高くて知識が豊富でも、パソコン操作が苦手な方が多いようです。

建設業界でも手書きの資料は少なくなり、Excelやwordの資料が主流。図面に関しても、CADをはじめとしたソフトを使って作成されます。上司が苦手な作業は、自然と部下に回ってくるもの。仕事量が増えて、ブラックな働き方になる原因の一つとなっているようです。

ホワイトな働き方を目指すなら、上司や一緒に働く人が「現場の経験や知識」に加えて「パソコン操作のスキル」を持っているかが、大切な判断材料となります。入社する前に、社員が不自由なくパソコン業務をこなしているかどうか、確認しましょう。研修制度が整っている会社であれば、在籍する社員のスキルも全体的に高いと予想できます。

現場において重要な人間関係

ホワイトな現場は、人間関係が良好でストレスも少ない環境です。一見荒っぽくみえる職人さんでも、仲間と認めれば、親身になって現場監督を支えてくれるはずです。

雰囲気が良いだけで作業効率は上がり、積極的にミスもフォローできる環境になるでしょう。

チームで協力することが不可欠な建設現場では、日頃から、現場の職人さんとの信頼関係を築いておくことが重要です。

ホワイトな働き方をするための改善策

今現在「現場監督」「施工管理技士」として働いており、今の職場環境や働き方に不満があるという方に向けて、改善のために何を行えばいいか詳しく紹介していきます。

何に不満・悩みを感じているかを明確にする

現場監督として働く場合、以下のような悩みを抱える方が多い傾向にあります。

  • 労働時間や休日に関すること
  • 人間関係に関すること
  • 知識や経験不足に関すること

労働時間や休日に関することは、現場監督の業界としての特色があります。体力的に辛いと感じたり、プライベートな時間が取れなかったりするなどの悩みを抱える方もいるでしょう。

人間関係であれば、主にコミュニケーションの取りづらさや教育・管理がスムーズにいかないなどの悩みが挙げられます。不満・悩みに関しては、原因を明確にすることにより、具体的な改善策を思い浮かべやすくなります。

自分の理想の条件を明確にする

現場監督をする上での悩みには、労働時間や休日に関わること・人間関係・知識や経験不足などが挙げられます。しかし、すべての条件を満たす職場環境を見つけるのは難しいでしょう。

環境改善を目指すためには、自分が優先したい条件を確認しなければなりません。労働時間の改善を考えている場合、ホワイトな企業への転職を考えるなど、自分が働きたい環境について具体的にイメージしてみるとよいでしょう。

大手企業や改修ゼネコンへ転職する

比較的ホワイトだとされる、大手企業や改修ゼネコンなどへの就職を目指すのも環境改善への近道と言えます。規模の大きい企業は、働き方改革を推進している傾向にあるためです。

会社の規模が大きいほど行政からのチェックも入りやすいので、個人の業務負荷を軽減するために各現場の人員を増やす、といった工夫を取り入れているケースがあります。

気になっている企業がある場合は、どのように働き方改革に取り組んでいるか、求人票や企業ホームページでチェックしてみるとよいでしょう。積極的にタブレット・PCなどのICTツールを導入しているか、という点も、ホワイト企業かどうかを見極める一つの判断基準としてみて良いかもしれません。

施工管理のスキルを活かした業種に転職する

施工管理と親和性が高い業種として、設備管理が挙げられます。設備管理の業務の1つとして、すでに完成している建物や設備などの保守管理があるためです。このような仕事は残業が少なく、定型的なシフト勤務が多い傾向にあります。残業時間の多さに悩んでいる人は、設備管理を選ぶのも1つの手段です。

同じようなスキル・知識でありながら、今よりも働きやすい職種が見つかるケースもあるため、今までの経験を活かした業種への転職を検討するのもよいでしょう。

キャリアアップを目指す

他の業種と比較して建設業は、賃金が高い傾向にあります。人手不足が問題となっていることから、比較的キャリアアップしやすい環境にあると考えられます。施工管理技士のように現場管理に関する資格を取得することで、担当できる業務も増えていくはず。経験や技術を培っていくことで、収入を上げやすくなります。現在の収入について悩みや不満を抱えている場合は、資格取得を目指してキャリアアップしていくと改善が期待できます。

ホワイトな働き方を目指すなら「雇用形態」もチェック

派遣で働く

派遣会社に登録して現場監督として働くという方式は、ホワイトな労働環境を重視する場合、検討してみる価値が十分にあります。派遣社員の場合、時間給や残業手当、休日数、休日出勤が発生した場合の代休や時給に加算される手当といった項目がすべて契約条項として定められているので、不履行の場合、法律違反となるので、会社もブラックな働き方を強要できないのです。

フリーランスで働く

働き方の多様性の流れを受け、建築の世界でも、フリーランスという働き方に門戸が開かれるようになってきました。指揮命令、就業規則などを企業側と協議の上で、契約によって定められ、その条件に即して働きます。そうした方式ゆえ、契約で定められた条件通りに施行を遂行する能力は求められますが、自身の裁量で自由に働くことができます。

業界全体でホワイト化への動きが進んでいる!?

労働時間が長く休日出勤も多いハードな労働環境が常態化している建設業界ですが、そうした状況改善を目指して、国土交通省が「建設業働き方改革加速化プログラム」を定める運びとなりました。以下でご紹介する、長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」という3つの取り組みが進められています。詳しくご紹介していきましょう。

長時間労働への取り組み

長時間労働の是正と週休2日の確保を目的とし、公共工事の週休2日工事の適用拡大、休2日工事の労務費等の補正の導入、共通仮設費、現場管理費の補正率見直しなどで、長時間労働が起こらない仕組みを整えるとしています。

給与・社会保険への取り組み

技能者の資格や就業履歴などを業界横断的に登録できる「建設キャリアアップシステム」の構築や、発注者に工事施工の依頼を社会保険加入業者に限定するよう要請するなどの取り組みも行い、給与・社会保険の適正化を図っています。

生産性向上への取り組み

i-ConstructionというITシステムの活用により、申請手続きの電子化や技術者配置要件の合理化を進めることで、人材や資材を有効活用する仕組みを構築。今後も進むと予測される人材不足への対策として役立てるとしています。

現場監督は現場や会社次第でホワイトな職種

結論として、現場監督の職場環境にはブラックもホワイトも存在します。

ホワイトな環境で仕事を頑張りたいと考える場合は、自分に合った労働環境を見極めて、希望に沿う会社や働き方を見つけることが大切です。

現在は働き方改革によって、労働者にとっては追い風の状況だと言えます。現場監督として、ホワイトな労働環境を見つけるチャンスを、逃さないようにしましょう。